学校で使用する学習用具は、ほとんど学校で準備されます。学習用具の中で、筆記用具などの文具は指定がない学校が多いです。
しかし、「華美ではないように」「筆箱は箱型がよい」など、指定はしていなくても、「そうしてください」ということなのです。

友達はかわいいのを持って来ているってねだられると迷うわ・・・

お家で用意されたものに「それはだめです」と学校側は言いにくいから、はっきり言わないだけです。
子どものことを考えるなら、シンプルな文具がお勧めです。使いやすいからです。
そして、集中のとぎれやすさを加速させてしまうことを防げます。

教員歴20年以上、1年生を8回担任してきた教員が、小学生に適した文具の選び方の基準を紹介します。
お勧めの文具を即知りたい方は、目次の”お勧め文具は昔ながらの老舗文具”にとんでくださいね。商品を載せています。
低学年に向かない文具

シンプルなデザインが一番、いつもそう思います。
巷では常にかわいい文具・便利な文具が出ています。しかし、低学年が使うには不向きなのです。
- 気が散る
- 壊れやすい
- 扱いきれない
大人基準で考えないこと、まだ子どもであることを忘れてはいけません。
「これがあるから頑張ろう!」とやる気アップのために買ってもらった文具に目が奪われ、授業に集中できないということは普通です。
壊れることで、対応しなければならず、授業が中断されます。
女の子は眺めてうっとり。男の子は、どのような文具でも、空想の世界にすぐにとんでいっちゃいますが・・・。
また、複雑なつくりであればあるほど壊れやすです。遊んでるうちに壊れることもよくあります。
これは便利だ!これは我が子にはぴったりだ!と購入しても、小さい子に向かないことも多いです。
物が増えて邪魔になるだけだったり、子どもが使いこなせなかったりします。
手も小さく、力も弱く、指先も不器用で、感覚もまだまだ発達段階です。大人と同じ基準で選ばないことが一番です。

かわいいものなどは大切にお家で飾ったり、楽しんでもらったりするのがよいですね。
華美な文具
見ているだけでテンションが上がる文具たちです。
◆キーホルダー付き鉛筆
書くときにちらちらゆらゆらします。
丸いものが多いのも問題です。正しい鉛筆の持ち方を身に付けにくいです。つまむところがわかりにくいからです。
何より、多くのお子さんがこのゆらゆらの魔法にかかり、うっとりとしてしまいます。
使う頻度が多いので気を付けてあげた方がいいですね。
◆絵柄付き定規
使用頻度が少なく出す機会は少ないのですが、手持無沙汰になると筆箱から出して眺める対象となりやすいです。
頭の中にお話が繰り広げられているのでしょうか。
メモリが小さく、線を合わせにくいため、使い勝手がいまいちな物が多いです。
多機能文具
一つで二役、いろいろな機能付きで便利、おもしろいといった文具たちです。
◆おもしろ筆箱
筆箱のスイッチをおすと、いろいと出てくる楽しい筆箱。
消しゴムを出してあげようとしても、いつもどこを押せばよいのか迷ったり、壊れてしまいそうで触るのがはばかられたりします。
いつも手間取ってしまい、手助けがしにくいです。
友達が触ってしまって、壊れることもあります。お家の方は気にしないと言われますが、学校ではそうはいかないのですよね。

壊れた子も壊してしまった子も、お互いショックを受けてしましいますね。
聞き取りとご家庭への連絡も必要となります。
相手がいることですので、トラブル扱いになるのです。下記もご参照ください。
◆赤青鉛筆
視界が自分の目の前1点の1年生にとって、反対側もとがっているというのは、見ていてひやひやします。
便利文具
あると便利そうな文具たちです。
◆ローラー消しゴム
ローラー消しゴムはもはや遊びとなります。おもちゃですね。
◆不要なキャップ
キャップが必要な場面が特にないのです。
箱型の筆箱に入れてある鉛筆にキャプは不要です。すぐに使用できずに、邪魔になります。
持ち歩く場面も少ないです。あるとしても、探検バックなどに入れることが多いです。そのまま入れても問題ありません。
記名を忘れられやすく、持ち主不明になることが多い文具です。持ち歩き時の危険さが気になるなら1個だけ十分です。
◆のばせる定規
のばせる定規も遊びとなり、最後は割れることが多いです。
カチカチという音が心地よいのか、無意識に閉じたり開いたりしている子もいます。
知らない間に授業の邪魔になっているかもしれません。
長く線を引くときには、定規をずらして線を引けばよいだけです。

2年以上になれば30㎝ものさしを学習するので、長い定規を購入します。
◆布製箱型筆箱
四角いかっちりとした箱型筆箱よりも軽く、長く使えそうで便利そうです。
しかし、筆箱の開け閉めがチャックのため手間となり、開けっ放しにしてしまうことがあります。
物が入れられる空間があるために、鉛筆を所定の差し込みに入れずに放り込んだりと、乱雑になりやすいです。
また、硬さがないからか、さっと出しにくい印象です。
器用なお子さんや、整頓が身に付いているお子さんには軽いのでよいでしょう。
また、学年が上がり、鉛筆の他にはさみやのりなどを入れる必要が出てきた時にはよいかもしれません。
◆立つ筆箱
1年生では使用している子を見ませんが、学年が上がるとちらほら見かけます。
立てられる筆箱は、視界が狭い低学年には不向きです。机が狭いので、倒してしまうからです。
高学年になるとよいかもしれません。
- 整理整頓ができる
- 机上の物の位置関係を把握できる
- 細やかな動作ができる
高学年でも、底に物がたまるので、詰め込みぐせのあるお子さんには不向きですね。

中学年でも扱うのが難しいと感じたお子さんがいました。
◆角がたくさんある消しゴム
角がたくさんある消しゴムは、角がよく割れます。低学年では、力加減を学習中ですので難しいですね。
使いこなしている子を見たことがなく、この消しゴムって便利なんだなという印象がないのが正直な感想です。
一時はよく見た消しゴムですが、最近ではお目にかかりません。
◆角がぬりやすい四角いのり
残念ながら、角まで合わせて使用していません。
きちんと使いこなすお子さんもおられるでしょう。しかし、そういったお子さんは、何を使用してもきちんと端までのりを付けることができます。
角は諦めて、しっかりと粘着力がありながらも、変なかたまりになりにくい、お値段も普通ののりがよいです。
蓋もこったものではなく、くるくるまわすタイプの方が、スムーズに使用できています。

蓋にも記名が必要です。落としたり、友達のと混ざったりしやすいです。
お勧め文具は昔ながらの老舗文具

やはり、昔から長く使われているものが扱いやすいです。それは、シンプルにできているからです。
箱型筆箱
鉛筆削りは付いていると、授業中に削って集中しなかったり、落として削りかすを拾ったり、邪魔になります。
1年生では入れてある鉛筆5本を使いきることはほぼありません。必要であれば、教室の鉛筆削りを使えばよいです。
こんなにもシンプルにしたクツワさん。この商品を選んでいる親御さんはしっかり者、学習というものを理解されているという印象です。

最近、鉛筆が削れているか、紛失していないかをすぐにチェックできる筆箱をクラスに数名見ます。透明部分が弱いかと思いましたが、そうでもなさそうです。


どちらもカラーバリエーションがありますので、好きな色を選ばせてあげたら、大事そうに使っていますよ。
昭和の時代から継承されている箱型筆箱は今の時代でもお勧めです。
いろいろな便利筆箱が出ていますが、1年生にとってこれに勝るものを見たことがありません。よくできています。
かさばる、重いと思われるかと思いますが、シンプルなタイプの軽いものでよいです。
- 出しやすさ
- 整理整頓のしやすさ
- 確認のしやすさ
慣れない授業を受けながら学習規律を身に付けていく1年生にとっては、大きな助けとなる筆箱なのです。
◆出しやすい
蓋が開け閉めしやすいため、使用したいものにすぐにアクセスできます。
中は1本1本独立しているので、削られている鉛筆を選んで取り出しやすいです。
探したり、下の方から抜き出すという難しい作業をしなくてよいので扱いやすいです。
柔らかくなく、あの硬さが素早く取り出すための一助となっています。
◆余計なものが入らない
放り込めないため、さっと入れられません。
きちんと片づけないと入らないので、常に整頓されます。
袋型であると、ごちゃごちゃ入れられますがその分余計なものを入れてしまったり、短い鉛筆も入れっぱなしになったりします。
どんどん物が増えてしまうのです。整頓の仕方がまだ身に付いていない場合は使用しない方がよいでしょう。
◆中が確認しやすい
筆箱の中も時間割と共に見てあげたほうがよいです。
子どもにとっても便利ですが、お家の方にとっても蓋を開ける出だけで確認できて楽ちんです。
・短い鉛筆、小さくなった消しゴムなど→交換
・芯の状態
・記名(残念ながら記名がないものは戻ってことないと思っておいてください)
筆箱の中を毎日見ることで、気づくことが多いですよ。

すぐに紛失しちゃう子、芯の折りぐせがある子、すぐに鉛筆を削ってしまいあっという間に短くしてしまう子などいます。
アドバイスをしたり、補充してあげたりすることで、授業中に困らずにすみます。
・削られている鉛筆が一目でわかる
➡授業中にすぐに取り出せられる。
・紛失にすぐに気づける
➡数を数える必要もない。ぴったり入っているはずの鉛筆、あるべきところにあるはずの消しゴム。
◆キャップは不要
物の管理を簡単にするには、物を減らすことが一番です。
5本の鉛筆には5個のキャップが必要になります。これが減らせられることは大きいです。
少しのこととお思いかもしれませんが、費用面、時間(買い出し、記名)+紛失時の捜査ということが、ずっと続くと考えると、持たない方がシンプルでよいですよね。
三角鉛筆
お手頃ですね。

カラフルで滑り止めも付いていて、持っている子を見て、よくできている!と思った商品です。カラフルだと、見つけやすかったり、自分のだとわかりやすかったり、ちょっとしたところで便利です。

鉛筆の持ち方はお箸と一緒で、指導しにくく、そしてなかなか身に付きにくいです。
一度癖が付くと抜け出しにくいのです。なぜなら、その方が今は楽だからです。
しかし、持ち方が正しくないと運筆(鉛筆・指の動き)がスムーズにいかず、細かい字が書きにくかったり、疲れたりしてきます。
書くことが嫌になる原因になります。学年が上がるにつれ、気づかないうちにストレスとなっているかもしれません。
◆持ち方指導のしやすさ
鉛筆は、親指と人差し指でつまみ、中指を支えにして持ちます。
この三角形が親指・人差し指・中指のそれぞれ三面に接するようになるので、自然にガイドされて持ち方がわかりやすい・指導しやすいのです。
三角鉛筆が見つかりにくい場合は六角形にしておきましょう。
丸い鉛筆はかわいい種類が多いのですが、つまむ時につまみにくく、その上転がりやすいので学校の学習ではいいところなしです。
◆持ち方矯正器具を付け外ししなくてよい
鉛筆グリップや補助具なども100均で数々の種類が売られています。
とてもよいなと思い購入し、貸し出しを行ったこともあります。
しかし、鉛筆を削るときに付け外ししないといけません。はじめは珍しがって頑張っていても、その内どこかに紛失。
長続きしないと意味がないですね。使用時に負担にならないものでないと継続は難しいです。
運筆は筆順にも関わります。筆順は覚えることにも関わります。
ひらがな・カタカナ・漢字とたくさん覚えるには、運筆を身に付ける必要があります。運筆の基礎となるのが、鉛筆の持ち方です。
老舗の消しゴム
消しゴムは老舗のMONOさんに限ります。まとめて買っておくとよいですね。
1年生にとって消しゴムで消すという行為は慣れておらず、難しいものです。
特に最近は鉛筆の芯が濃いので、余計にきれいに消すのが難しいのかもしれません。
きれいに消えないと、何を書いているのか読みにくいです。字を書くモチベーションも下がります。
どの消しゴムが消えやすいかは、お家の方がお子さんの文字を消してみるのが一番わかりやすいです。
使ってみると、消しにくいということがあります。
昔からよく使用されてきている老舗の普通の消しゴムはお薦めです。
◆消しやすい
昔ながらの老舗ブランドの消しゴムはやはり消しやすいです。柔らかさと硬さが丁度よいバランスです。
色付きのものやにおい付きのものは、硬いことが多いです。まさに、老舗の消しゴムは、ゴムだなと感じます。
◆割れにくい
力加減が分からないために、使用中に割れることが多いです。消すときに大きく動かし過ぎのこともあります。
よく欠けている場合は、消している姿を観察するとよいです。
ポイントは「小さく動かす」です。

力いっぱい消したら消えると思って、手を大きく動かしてしまう子がいます。細かく小さく動かいしいるか見てあげましょう。
アドバイスしても改善しない場合は、消しゴムがお子さんに合っていない可能性があります。
透明定規
クツワさんはさすがですね。よく考えられています。

定規は線を引くのはもちろん、「正確に測る」道具です。用途を考えて、適した道具を持たせてあげることが大事になります。
◆合わせやすい
透明であるために、線を引くときに下が見えるために合わせやすいです。
下が見にくいと、文字にかぶったり、・に合わせた時にずれてしまったりしやすいです。
◆メモリがよみやすい
シンプルな透明定規は、メモリがはっきりとしており、5とび・10とびでメモリや数字も読みやすいように工夫されているものが多いです。
メモリの読み方は2年生で学習します。1年生から日常的に目にして慣れておくのが、身に付きやすいです。
一色下敷き
下敷きくらいはかわいいものでもよいかなとも思います。
しかし、授業の様子を見ていると、定規同様、違う世界への入口になりやすいです。
学習用文具は、あくまでも学習するためのものという認識を小さいころから身に付けておくことが大事ですね。
TPOです。
まとめ
かわいい文具、おもしろ文具、お店には目を惹くものがたくさんあります。毎回購入していてはもったいないです。たまには、それでモチベーションが上がってよいのではとお考えになるかもしれませんが、その期待が見事に裏切られるのです。
気持ちもそうですし、手先の不器用さ、慣れない文具の扱いも大きく関係してきます。大人の基準で選ばないことです。お子さんの学習用具の使い方を観察し続けてみると、いろいろな発見があっておもしろいかと思います。
子どもならではの特性を知った上で、かわいい文具をなどを次々と揃えるのではなく、違う形で学習の応援をしてあげてください。
決して、そのかわいい文具や便利文具などを否定しているわけではありません。お家で使う分には構わないのです。ただ、学校の学習においてはふさわしくないことがあるということです。
発達段階、時期、場所、目的に適したものを考えてみてあげてください。
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