入学前にできておいた方がいいこと ~ひらがな編~

入学準備

年長さんは小学校入学まで半年になろうとしています。

みちこさん
みちこさん

何か勉強しておいた方がよいのかしら。みんなはどこまでできているの?

せんせい
せんせい

周りの子たちの様子が分からないと、学校に入ってからついていけるか心配ですよね。

1学期の生活の様子や、学習内容を知ることで、今から身に付けておいた方がよいことがわかるかと思います。

今回はひらがなについてです。ひらがなは、1年生1学期のメインとなる学習内容です。入学早々はじまります。今から心づもりをして、できることから少しずつ取り組んでおいた方が、授業がはじまってから、もしくは、テストを終えて結果を見てから慌てなくてすみます。

せんせい
せんせい

どれくらいの子がどれくらいの状況か知りたいかと思います。統計はとっていないですが、今まで見てきただいたいの数をお伝えしていきます。経験の中での個人的な見解であることをご了承ください。

1学期の学習内容(国語)

国語にも算数にも言えることですが、1学期の学習は、入学までに身に付けてきたことを確実なものとし、定着させていく内容となっています。

国語のひらがなにしても、算数の数にしても一から教えていきますが、どんどんと進んでいきます。入学前の生活の中で何となく身に付けてきたことを、学習することで意味を持たせていくのです。

入門期におけるひらがな学習

1年生の4・5月は入門期です。

・座り方

・教科書の持ち方

・鉛筆の持ち方

・挨拶や返事の仕方

こういった学習の基本を学びながら、数日後からひらがなの学習が始まります。1日に1文字、慣れてきたら2文字3文字と進めることがあります。50音を全て学習するまでに、5月末から6月中旬頃までかります。

・読み方(一音一字であること)

・その文字が使われる言葉

・書き順

・文字の形

同じ内容を同じような進め方で50文字終わるまで毎時間繰り返されます。

1学期の到達目標

50音を終えても、もひらがなの学習は続きます。ここからが、難しくなるところです。実際に使えるようにしていくのです。まずは、言葉が書けるようにします。

・促音(小さい「っ」)

・長音(のばす音「おかさん」など)

・拗音(「きゃ」など)

・拗長音(「きゃあ」など)

その後は、文が書けるようにしていきます。さらに難しくなります。

・「は」と「わ」

・「を」と「お」

・「へ」と「え」

ここまできて、ようやく自分で文が書けるようになったということで、ひらがなに関する内容は終わりです。

6月下旬から7月中旬に終わらせます。

せんせい
せんせい

「ひらがな」を学習しながら、物語文や説明文の学習も進んでいきます。

入学前に身に付けておくべき内容とその理由

1学期中、国語の学習はほぼ、「ひらがな」となります。ところが、ひらがなは、入学後から必要になってきます。

ひらがなを学習しながらも、自分の名前を書いたり、算数のプリントを解いたりしていかなければならないからです。ひらがなの学習を終えてないにも関わらず、生活面でも学習面でもひらがなは常に使われます。

自分の名前は書けるように

自分の名前はひらがなで、読むのも書くのも必須です。

  • 名前が書かれたところに物を片づける(読む)
  • プリントに名前を書く(書く)
  • 名前が入った用紙を配布される(読む)

入学早々に自分でしていかなければならないのです。

実態

経験の範囲内になりますが・・・(通常級において)

・自分の名前を全く認知できない子はいなかった。

・一音一音理解しているのではなく、なんとなく「このまとまりが自分の名前」として捉えている子も稀にいた。

・自分の名前を正しく(字形・筆順は除いて)書けない子は、30人ほどの学級で0~3人ほどだった。

・名前を正しく書けない子の中で、全く書けない子は一人いるかいないかくらい。(名前の手本を見ても)

大人にとっては簡単に見えても、今まで全くひらがなに触れていなかったお子さんにとっては「見て書く」ということは、すぐにできるものではないのですね。

せんせい
せんせい

お家で書く経験をしてこず、真似して書けないわけではないのに、自信を持てずに手が止まってしまうお子さんもおられました。

書けないとしても、先生が書いてくれたり、一緒に書いてくれたりします。ですが、1日に名前を何度も書く機会があります。そのたびに、困った場面となってしまうのです。

・苗字は書けないけど名前は書ける

・鏡文字になっている

・誤字がある

このように正しく書けなくても、何かしら名前が書ければ、ひとまずプリントなどを返すことができます。時間はかかりますが、ひらがなを学習したり、何度も名前を書いたりしていくうちに正しい書き方を覚えていけます。

50音はほぼ読めるように

「ほぼ」とは、読み間違いや、忘れたり、止まって考えたりすることがあるにしても、単語が読める状態のことを指しています。

50音をほぼ読めるよにしておかないと生活や学習でついていくのに必死になる場面が出てきます。

  • 指示されていることがわかりずらい
  • 問題が解けない

何より50音を覚えるのに苦労しますし、覚えるまでハンデがある状態で学習進んでいってしまいます

指示されていることがわかりずらい

新し学校生活がはじまる中で、いろいろなルールや手順などを聞きます。

話を聞くだけでは覚えられません。そのために、黒板に書いたりします。はじめは絵カードなどで示したりもします。次第に単語、その内に短い文が書かれていきます。絵カードはなくなっていきます。

指示内容は黒板を見返して確認したりします。黒板に指示などが書かれていても、文字が読めない、もしくは文字に興味がなく読もうとしないと見逃すことも出てきます。

指示の内容も、はじめはそこまで複雑ではありませんが、ひらがなも中盤過ぎれば、内容も1年生にとって複雑になっていきます。

せんせい
せんせい

黒板の前に立って、一文字一文字指をさしながら、たどたどしく読む子の姿も見られます。ひらがなを知っているということが、書かれていることを読もうとするエネルギーとなるのですね。

問題が解けない

ひらがなを全て学習していない時期の授業は、読めないことを前提に進めていきます。

教科書や問題、黒板に書いたことを先生が読んだり、先生に続いて読んだりします。1年生の教科書を見てもらったらわかりますが、初めの方はほとんどが絵ばかりです。算数では、ひらがなの理解力が影響しないよう、絵が豊富であったり、直感的に解けるようになっています。

とは言うものの、だんだんと学習内容が深くなってくると、そうは言っていられなくなります。

文字が増えていきます。ひらがなを全く知らない状況だと困ることが出てきます。

・一緒に読んだあと、自分で読み返せない

・一緒に文を読む時に違うところを見ている

・みんなで読んでいるようにしているが、後追いで口だけ動かしている

文字を見て読んでいないので、読む機会が何度あっても、文字を覚えるということが余計に難しい状態になります。

プリントや、宿題などで、習熟をはかったとしても、今までひらがなに触れていなかったお子さんが、学校の内容だけで50音読めるようになるにはかなり難しいです

毎日のように何文字も新しく覚え、約2か月でひらがなをマスターしなければならないのです。ひらがな50音を学習し終えたら、様子を見ながらプリントやテストなど、自分で読んで解いていくこととなります。つまり、ひらがなを覚えていないと想像で問題を解くしかないのです。

例え学習内容が理解していたとしても、問題が読めない、答えが書けないばっかりに、本当の実力がわかりにくくなってしまいます。

せんせい
せんせい

ひらがなを覚えていないと、文字をとばしながら、たどたどしく読むので、何が書かれているか全く意味がわからなくなってしまいます。

英語の模擬試験が全く解けなかったことを思い出しました…

読み間違いの文字があるくらいなら、授業や宿題で身に付けられることがほとんです。

一方、今までほとんどひらがなを覚えてこなかったということは、そもそもひらがなに興味を示さなかったということであり、そこから覚えるまでには根気と時間がかかります。

その間にも、どんどん授業は進んでいきますので、ひらがなを読めないという時点で、他の学習内容にも影響をきたしてきます。差がひらいてしまうということです。

形は整っていなくても見て書けるように

大人が思っているよりも、発達段階的にも字の形をとることは難しいです。

  • 「く」「へ」などの斜め
  • 「つ」「う」「ふ」などのカーブ
  • 「す」「ぬ」などの結び
  • 「い」「や」などの向き
  • 「れ」「わ」などの折れ
  • 「あ」の曲げ

字の形は、授業でしっかりと教えます。

せんせい
せんせい

直線や曲線など、線なぞりの練習があります。字の形をとる前に、運筆(鉛筆の動かし方)を身に付けるためです。これはスムーズに文字が書けるようになるために大事な練習です。

1日に何文字も新しいひらがなの書き順や形に気を付けて書いていくので、一から覚えるとなると、1学期の間にマスターすることが難しくなります。

読むことがほぼできていると、授業で学習すれば身に付きやすい状態にはなっています。個人差はありますが、ほぼ読めて入学する子は、書けるひらがなもそれなりにあります。ほぼ書けてくる子も多いです。

読むということをしている段階で文字に対して興味を持ち、まねして書いてるのでしょうか。

まねをして書いていると、自然と覚えていきます。もしくは、お家の方が意識して練習に取り組んでおられるのでしょう。

読めているお子さんは、1学期終わりのひらがなテストで書くこともほぼできています。ただ、1学期の終わりでひらがなが完璧に近く覚えられていないと、促音(つまる音)や拗音(ねじれの音)、「は」「を」「へ」などが2学期になってもひっかかってしまう傾向が高いように思います。

実態

30人学級で・・・経験の中で感覚的には

【名前】

・全く書けない・・・1人いるかいなかい

・正しく書けない・・・1~3人ほど

【(上記を含めて)1学期末までの50音の読み】

・半分以上読めない・・・2~3人ほど

・3分の1ほど読めない・・・2~3人ほど

【(上記含めて)1学期末までの50音の書き】

・半分以上書けない・・・2~4人ほど

・3分の1ほど書けない・・・2~4人ほど

名前➡50音読み➡50音書きという順に難しくなるので、(上記を含めて)というのは、名前が書けない場合は、読み・書きができないということです。

まとめ
  • 30人学級くらいでひらがなに対して心配なお子さんは4人ほど
  • 夏休みに習熟をはかって強化しておいてほしいお子さんは、その4人プラス3人ほど
  • 入学時に名前が正しく書けない場合は、読み・書きが授業内では身に付きにくい
  • 50音が1学期中に読める場合は、書くこともほぼ身に付いている
  • 50音がしっかり身に付いていないと、単語・文でひっかかる

濁音はだいたい、促音・長音・拗音は完璧でなくても大丈夫

もちろん、読める・書けるに越したことはありません。濁音は、「点々が付く!」「がぎぐげご」「ざじずぜぞ」など、知っているお子さんが多いです。しかし、「だぢづでど」「ばびぶべぼ」「ぱぴぷぺぽ」など、普段あまり見ない文字や使用しない文字は、そうなんだ~という感じで学習しています。

促音・長音・拗音・拗長音に関しては、こういう文字があり、こういう読み方があるのだということを見たことがある、聞いたことがあるという感じで、なんとなく知っているという様子が大半です。

授業では、「小さいつやろ!」「大きい文字と小さい文字」と声があがりますが、実際書けるのとは別問題です。

濁音は、ひらがなを読める、書けるようになっていれば、あとは習熟です。

慣れていない文字を中心に意識して練習すればよいです。1学期終わりには、書けていることを目安にしたらよいです。

とのかく、内容理解(ルール)+慣れ(練習)で繰り返し振り返りながら身に付けていきます。

長音はまだマスターしやすいのですが、促音と拗音、拗長音は身に付けるのは大変です。

単語で書けることは1学期末までに、2学期末までには、文章内でも正しく書けるようにしておきたい内容です。

せんせい
せんせい

ひらがな50音テストで「書く」が2、3個ほど書けないくらいは大丈夫ですが、誤りが多い場合は、文字を覚えることに慣れていないので、拗音もひっかかることが多いです。ですので、お家でフォローしながら、2学期までには書けるように意識した方がよいです。

ひらがな練習の注意点

ひらがなを入学前までにある程度身に付けておいた方がよういのですが、練習の中で気を付けておいてほしい点があります。

興味を持たない場合

1年生1学期の学習内容は、国語に限らず、入学前に日常生活の中で身に付いたり、興味を持って覚えたりした内容が多くを占めます。興味はまねからはじまります。

・お兄さんやお姉さんがやっている宿題を見ていてまねをしようとする

・お家の方の読み聞かせをまねしようとする

・友達が書いている手紙をまねしようとする

「これってどう読むの?」「○○ってどう書くの?」など聞いてくるでしょうから、それらの興味を大切にしてあげたいところですね。

さらに、ひらがな表など身近にいつでも見れるところにあるとよいかもしれません。

中には

・興味を持たなかった

・ひらがなは教えていない(方針?)

など、全くひらがなを知らない状態で入学されるお子さんもおられます。その場合、お子さんは入学後に大変苦労します。(もちろん、我が家はそうではなかった!という方もおられるかもしれませんが)

ほとんどのお子さんが興味を示したり、生活の中で多少なりとも身に付けている中で、入学までに全く身に付けてこれていないという時点で、何かしらの支援を考えてあげる必要があるかもしれません。

・入学後に興味を示すとは限らない

・一から数か月で身に付けるには量が多い

・身に付くまでに他の学習内容まで滞る

入学後に困るのはお子さんです。様々な考え方や経験から園や周囲の方々から、ひらがなに関するアドバイスを受けるかもしれません。

・興味を持っていないのに無理にして嫌いにさせたらだめだ

・小学校に入ってからで大丈夫

・学校に行ったらするようになる

・早生まれだから

実際のところ、経験の中でのことになりますが、今までに見てきて、入学までに全く覚えていない状況から、1学期末までに50音をマスターできたお子さんはおられないのではないかというくらい、覚えがありません。

せんせい
せんせい

「ここまでよく追いついたなあ」と、お子さんとお家の方の努力を感じたことは1組おられましたね。

お子さんが、興味を示さない、全く身に付けていかない理由は何かという、根本を探ってみるところから始まるかと思います。何かヒントが見つかるかもしれません。

お家の中だけで抱え込まず、園の先生や就学前相談など周囲の方々を頼ってもらいたいと思います。お家の方とは違う視点に気づき、新たな発見があるかもしれません。

ひらがなを書く前の準備

書くことに興味を持ちだしたからということで、ひらがなドリルをさせようとするお家の方もおられるかもしれません。

せっかくですので、与えっぱなしにせずに、ぜひ有効活用させてほしいです。

線のなぞり書きで運筆練習

ひらがなをお子さんが書きたがっているのであれば、ひらがなのドリルもよいでしょうが、「線なぞり書き」の練習も混ぜてあげるとよいです。

「線なぞり書き」とは横・縦の直線のほかに、ぎざぎざ、くるくるなどの線をなぞるものです。

ただの線もあれば、線で絵になっているものなどまであります。入学後にはまず、そのような練習をします。運筆(鉛筆・指の動かし方)を身に付けていきます。この運筆がうまくできることで、ひらがながスムーズに書けるようになります。斜めの線や、結びなどの難しい形がとりやすくなります。

せんせい
せんせい

運筆練習を先にしたらよいのですが、ひらがなにやる気を出しているのなら、順番は問わず、ひらがなを書いてみるとよいでしょう。

付けたくない癖

入学前にひらがな練習をしてもらうことはよいことなのですが、二つの癖に注意です。

注意
  1. 鉛筆の持ち方
  2. 書き順

運筆をスムーズにしようと思うと、鉛筆の持ち方が大切です。また、今後、小さい字になってきた時や量を書くようになってきた時、正しい持ち方でないと疲れるでしょう。

・ぎゅっと握る

・親指が出る

といった癖が多いです。

鉛筆の持ち方は、初めに身に付けた持ち方がずっと沁みついてしまいます。正しい持ち方を教えても、自分の持ち方の方が書きやすく、きれいに書けるので、嫌がります。正しく持ったとしても気が付いたらすぐに元に戻っています。

正しい持ち方をはじめから教えてあげた方がよいでしょう。しかし、楽しく興味を持って書いているのに、持ちにくい持ち方を無理にさせようとすると、嫌がってしまうのも本末転倒ですよね。

ですので、三角鉛筆がお薦めです。3面に指を置くことを教えてあげるとよいです。

書き順に関しても、なかなか直らないですし、ずっと見ていないと気づいてあげにくいです。

文字を書くときには流れ(上から下、左から右など)があります。流れなく好きなように書いていると、今後膨大な量の漢字を覚えることが難しくなります。

書き順もあれこれ横から言うと、書くことが嫌になってしまいますよね。入学前であれば、お子さんの実態やタイミングなど様子を見ながら、声かけをしてあげるましょう。

癖が付くとなかなか直らないので早めに直してあげたいところですが、やる気とアドバイスとのバランスですね。うまく気分をのせなる言葉がけで、何がヒットするのかを楽しんでみてください。

せんせい
せんせい

たまに鉛筆の芯がぽきぽき折れるお子さんがおられます。筆圧が強すぎてすぐに折れるのです。

大変疲れてしまうので、力をぬいてリラックスして持つことを教えてあげるとよいです。

まとめ

ひらがなは覚えている方が、何かとスムーズに進みやすいです。お子様の実態に合わせて、今から少しずつ練習していけば、入学後に困らずにすむでしょう。

①名前の読み・書き

②50音の読み

③50音の書き

④促音・拗音・拗長音の読み

⑤「は」「を」「へ」(文)の読み

かけられる時間や個人差もあるでしょうが、③をなんとなくできるまでには目安としてもっておくとよいでしょう。

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