学校で使用する学習用具は、ほとんど学校で準備されます。学習用具の中で、筆記用具などの文具は指定がない学校が多いのではないでしょうか。自由でありながらも、華美ではないように、筆箱は箱型でなど、注意点が付く学校もあるかと思います。
結局何がよいのかわからなくて。友達はかわいいのを持って来ているって子どもからも聞くし・・・
お家で買ってもらったのに、それはだめですと言いにくいところもあります。しかし、お子さんのことを考えるなら、シンプルなものに限ります。
シンプルな文具をお勧めするわけと、どのような文具がよいか選び方の基準をご紹介します。
低学年に向かない文具
シンプルなデザインが一番、いつもそう思います。巷では常にかわいい文具・便利な文具が出ています。しかし、低学年が使うには不向きなのです。
- 気が散る
- 壊れやすい
- 扱いきれない
大人と異なりまだ子どもです。「これがあるから頑張ろう!」とやる気アップのために買ってもらった文具に目が奪われて授業に集中できないということは普通です。女の子は眺めてうっとり。男の子は、どのような文具でも、空想の世界にすぐにとんでいっちゃいますが・・・。
また、複雑なつくりであったり、遊んでしまったりして壊れることも出てきます。
目が奪われるような新しい文具が次々と出てきて、これは便利だ!これは我が子にはぴったりだ!と思ったとしても、小さい子に向かないことも多いです。物が増えて邪魔になるだけだったり、子どもが使いこなせなかったりします。手も小さく、力も弱く、指先も不器用で、感覚もまだまだ発達段階です。大人と同じ基準で選ばないことが一番です。
かわいいものなどは大切にお家で飾ったり楽しんでもらったりしたらよいと思いますよ。
実際にあったことを例として挙げていきますね。
華美な文具
見ているだけでテンションが上がる文具たちです。
◆キーホルダー付き鉛筆
書くときにちらちらゆらゆらします。丸いものも多く、つまみにくさも出てきます。何より、このゆらゆらに多くのお子さんが魔法にかかりうっとりとされています。手にすることが多い分、気を付けてあげた方がいいですね。
◆絵柄付き定規
使用頻度が少なく出す機会は少ないのですが、手持無沙汰になると筆箱から出して眺める対象となりやすいです。頭の中にお話が繰り広げられているのでしょうか。メモリが小さく、線を合わせにくく、使い勝手がいまいちな物も多いです。
多機能文具
一つで二役、いろいろな機能付きで便利、おもしろいといった文具たちです。
◆おもしろ筆箱
筆箱のスイッチをおすと、いろいと出てくる楽しい筆箱。消してあげようと筆箱を開けるも、いつもどこを押せばよいのか迷い、また、壊れてしまいそうで触るのがはばかられ、いつも手間取ってしまいます。
友達が触って壊れる可能性も大きいです。壊れてもお家の方は大丈夫と言ってくれそうですが、聞き取りをしたり、相手の方の保護者に連絡したり、時間が消費されてしまいます。何より壊れた子も壊してしまった子も、お互いショックを受けてしましいますね。
◆赤青鉛筆
視界が自分の目の前1点の1年生にとって、反対側もとがっているというのは、見ていてひやひやします。
便利文具
あると便利そうな文具たちです。
◆ローラー消しゴム
ローラー消しゴムはもはや遊びとなります。おもちゃですね。
◆不要なキャップ
キャップが必要な場面が特にないのです。鉛筆は筆箱に入れておくか、探検バックなどに入れるか、持ち歩くとしても特段必要性を感じません。持ち歩くときに不意に人に当たって突いてしまいそうなお子さんは、キャップを持っていても付けないでしょう。持ち主不明になることが多い文具です。持ち歩き時の危険さが気になるなら筆箱に1個だけ入れておくとよいでしょう。
◆のばせる定規
のばせる定規も遊びとなり、最後は割れることがあります。カチカチという音が心地よいのか、無意識に閉じたり開いたりしている子もいます。知らない間に授業の邪魔になっているかもしれません。
2年以上になれば30㎝ものさしを学習するので、長い定規を持つことになります。長さが足りなければ、定規をずらして付け足す技術も身に付けていくことが今後のためになりますね。
◆布製箱型筆箱
四角いかっちりとした箱型筆箱よりも軽く、長く使えそうで便利そうです。しかし、筆箱の開け閉めがチャックのため手間となり、開けっ放しにしてしまうことがあります。物が入れられる空間があるために、鉛筆を所定の差し込みに入れずに放り込んだりと、乱雑になりやすいです。
また、硬さがないからか、さっと出しにくい印象です。
学年が上がり、鉛筆の他にはさみやのりなどを入れる必要が出てきた時にはよいかもしれません。
◆立つ筆箱
1年生では使用している子を見ませんが、学年が上がるとちらほら見かけます。立てられる筆箱は、認識できる範囲が小さい低学年には不向きです。学校の机自体が狭いため、整理整頓ができ、机上にある物の位置関係が把握でき、細やかな動作ができる高学年くらいにならないと、倒して落とす確率が上がってしまいます。中学年で難しいなと感じたことあるからです。
◆角がたくさんある消しゴム
角がたくさんある消しゴムは、角がよく割れます。力加減を学習中ですので難しいですね。
使いこなしている子を見たことがなく、この消しゴムって便利なんだなという印象がないのが正直な感想です。一時はよく見た消しゴムですが、最近ではお目にかかりません。
◆角がぬりやすい四角いのり
残念ながら、角まで合わせて使用していません。もちろん、きちんと使いこなすお子さんもおられるでしょう。しかし、そういったお子さんは、何を使用してもきちんと端までのりを付けることでしょう。ですので、角は少し諦めて、しっかりと粘着力がありながらも、変なかたまりになりにくく、お値段も普通ののりがよいですよ。
お勧め文具
やはり、昔から長く使われているものが扱いやすいです。それは、シンプルにできているからです。
箱型筆箱
昭和の時代から継承されているこの筆箱は今の時代でもお勧めです。いろいろな便利筆箱が出ていますが、1年生にとってこれに勝るものを見たことがありません。よくできています。かさばる、重いと思われるかと思いますが、シンプルなタイプの軽いものでよいです。
- 出しやすさ
- 整理整頓のしやすさ
- 確認のしやすさ
慣れない授業を受けながら学習規律を身に付けていく1年生にとっては、大きな助けとなる筆箱なのです。
◆出しやすい
蓋が開け閉めしやすいため、すぐにアクセスでき、中は1本1本独立しているので、削られている鉛筆を選んで取り出しやすいです。探したり、下の方から抜き出すという難しい作業をしなくてよいので扱いやすいです。
柔らかくなく、あの硬さが素早く取り出すための一助となっています。
◆余計なものが入らない
放り込めないため、さっと入れられません。しかし、きちんと片づけないと入らないので、常に整頓されます。袋型であると、ごちゃごちゃ入れられますがその分余計なものを入れてしまったり、短い鉛筆も入れっぱなしになったり、どんどん物が増えてしまいがちです。整頓の仕方がまだ身に付いていない場合は使用しない方がよいでしょう。
◆中が確認しやすい
筆箱の中も時間割と共に見てあげたほうがよいです。子どもにとっても便利ですが、お家の方にとっても蓋を開ける出だけで確認できて楽ちんです。
すぐに紛失しちゃう子、芯の折りぐせがある子、すぐに鉛筆を削ってしまいあっという間に短くしてしまう子などいます。お家の方がちゃんと気づいてアドバイスしてあげたり、補充してあげたりしていました。授業で困らないということが大事なことです。
◆キャップが不要
物の管理を簡単にするには、物を減らすことが一番です。5本の鉛筆には5個のキャップが必要になります。これが減らせられることは大きいです。少しのこととお思いかもしれませんが、費用面、時間(買い出し、記名)+紛失時の聞き取りということが、ずっと続くと考えると、持たない方がシンプルでよいですよね。
三角鉛筆
鉛筆の持ち方はお箸と一緒で、指導しにくく、そしてなかなか身に付きにくいです。一度癖が付くと抜け出しにくいのです。なぜなら、その方が今は楽だからです。しかし、持ち方が正しくないと運筆(鉛筆・指の動き)がスムーズにいかず、細かい字が書きにくかったり、疲れたりしてきます。学年があがると、気づかないうちに書くことへのストレスとなっているかもしれません。
◆持ち方指導のしやすさ
鉛筆は、親指と人差し指でつまみ、中指を支えにして持ちます。この三角形が親指・人差し指・中指のそれぞれ三面に接するようになるので、自然にガイドされているようで持ち方がわかりやすい・指導しやすいのです。
三角鉛筆が見つかりにくい場合は六角形にしておきましょう。丸い鉛筆はかわいい種類が多いのですが、つまむ時につまみにくく、その上転がりやすいので学校の学習ではいいところなしです。
◆付け外ししなくてよい
鉛筆グリップや補助具なども100均で数々の種類が売られています。とてもよいなと思い購入し、貸し出しを行ったこともあります。しかし、鉛筆を削るときに付け外ししないといけません。はじめは珍しがって頑張っていても、その内どこかに紛失。長続きしないと意味がないですからね。
使用時に負担にならないものでないと継続は難しいです。そもそも、付け外しを器用に、そして律義にする子であれば、鉛筆の持ち方を毎回教えていたら、何も付けなくても正しくできそうですね。
運筆は筆順、そして覚えることにも関わってきます。ひらがな・カタカナ・漢字とたくさん覚える文字があるので、鉛筆の持ち方はよい癖をつけておきましょう。
老舗の消しゴム
1年生にとって消しゴムで消すという行為は慣れておらず、難しいものです。特に最近は鉛筆が濃くなっているので余計にきれいに消すのが難しいのかもしれません。きれいに消えないと、何を書いているのか読みにくいだけでなく、字を書くモチベーションも下がります。
どれがよいかは、お家の方もお子さんの文字を消して試してみるとよいです。使ってみると、子どもが使用しにくいだけでなく、そもそも消しにくい消しゴムがあります。
昔からよく使用されてきている老舗の普通の消しゴムはお薦めです。
◆消しやすい
昔ながらの老舗ブランドの消しゴムはやはり消しやすいです。柔らかさと硬さが丁度よいバランスです。色付きのものやにおい付きのものは、硬いことが多いです。まさに、老舗の消しゴムは、ゴムだなと感じます。
◆割れにくい
使用していると割れることは多いです。それは仕方ないとして、よく欠けてしまい、すぐに小さくなる消しゴムは、消す時に大きく動かし過ぎか、お子さんに合っていない可能性があります。
消すときに「小さく動かす」ことがポイントです。力いっぱい消したら消えると思って、手を大きく動かしてしまう子が多いです。指先で細かく小さく動いているか見てあげましょう。
透明定規
定規は線を引くのはもちろん、きちんと正しく測るという、道具です。ですので、用途を考えて適した道具を持たせてあげるのが大事ですね。
◆合わせやすい
透明であるために、線を引くときに下が見えるために合わせやすいです。下が見にくいと、文字にかぶったり、・に合わせた時にずれてしまったりしやすいです。
◆メモリがよみやすい
シンプルな透明定規は、メモリがはっきりとしており、5とび・10とびでメモリや数字も読みやすいように工夫されているものが多いです。メモリの読み方は2年生で学習しますが、このようなことは日常から目にして置き、慣れておくのが一番身に付きやすいです。
一色下敷き
下敷きくらいはかわいいものでもよいかなと思うのですが、定規同様、違う世界への入口になり得ます。学習用文具は、あくまでも学習するためのものという認識を小さいころから身に付けておくことも大事なことかと思います。TPOですね。
まとめ
かわいい文具、おもしろ文具、お店には目を惹くものがたくさんあります。毎回購入していてはもったいないです。たまには、それでモチベーションが上がってよいのではとお考えになるかもしれませんが、その期待が見事に裏切られるのです。
気持ちもそうですし、手先の不器用さ、慣れない文具の扱いも大きく関係してきます。大人の基準で選ばないことです。お子さんの学習用具の使い方を観察し続けてみると、いろいろな発見があっておもしろいかと思います。
子どもならではの特性を知った上で、かわいい文具をなどを次々と揃えるのではなく、違う形で学習の応援をしてあげてください。
決して、そのかわいい文具や便利文具などを否定しているわけではありません。お家で使う分には構わないのです。ただ、学校の学習においてはふさわしくないことがあるということです。
発達段階、時期、場所、目的に適したものを考えてみてあげてください。
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