登下校時のトラブルは、低学年のトラブルの中で最も多いと言ってもよいほどです。大人がいない、そして、毎日ほぼ同じお友達といることになるからです。そして、このトラブルが中学年くらいまで続くことがあります。
悩ましい登下校のトラブルですが、お家の方が大人になって対応していく姿が子どもの成長につながると信じて、時にはぐっとこらえることも必要な場面もあるでしょう。お家の方の考え方、ちょっとした対応が影響しているように感じます。
今回はもしかしたら、耳が痛いお話しかもしれませんが、登下校時のトラブルは安全に関わってきますし、長引くとお家の方が大変困ります。何よりもお子さんにとっても楽しいものではありませんので、心構えとしてでも最後までご覧いただけたらと思います。
厳しい言い方になっているかもしれません。
しかし、登下校のトラブルはメンバーが固定することもあり、たびたび繰り返されたり、長引くことがあり大変です。早くすぱっと終えるためにも、今回は、あえて、ずばり言わせてもらっています。ご了承ください。
中学年までトラブルが続く特徴
中学年までトラブルが続く特徴に下記の点がよく見られます。
①保護者の方に登下校は保護者の責任だという認識がない
②保護者の方が大人になりきれない
③お子さんが特定の子に固執してしまっている
④お子さんが突発的に行動してしまう
高学年になると登下校のトラブルというよりも、友達関係のトラブルというくくりになったり、放課後のトラブルということになり、少し問題が大きくなります。
登下校はお家の方の責任
朝、登校班をつくって登校する学校のお家の方に多い誤った認識が、登下校までが学校の責任だという考えです。
小学校の登下校の責任は保護者ですし、文部科学省からも先生の仕事をはっきりとさせるためにもきちんと示されています。しかし、これを知らない方、そして、それを伝えたとしても、「とは言っても保護者だけでは見きれないから学校も見てよね」という認識をお持ちのお家の方が多いです。
この考えは他責に陥り、事の解決からそれてしまいがちです。つまり、トラブルが長引くか、たびたび起こる可能性が出てきます。
登下校を学校の責任にしてしまいがちな理由
◆登校班
入学前は、園まで、もしくはバス乗り場まで保護者の方が責任もって送り迎えしたはずです。ところが入学して登校班があれば、登校班の人たちが連れて行ってくれる、学校がやってくれていると勘違いしてしまうのです。
しかし、ここの捉え方に誤りが出ています。本来は毎日の送迎の責任は保護者の方になりますが、それでは、特に低学年においては、大変になります。ですので、近所でグループをつくってくれているだけなのです。そして、自分も低学年の時にお世話になったので、大きくなったら、次は下の子を見てあげようというものです。言わば、善意なのです。
しかし、その考えがないと、
・登校班の人のことを怖いと言っている!
・登校班の人が歩くのが速い!
など、要望ばかり伝えて訴えてしまうということをしてしまうのです。これが、善意でしてもらっていると思えば、
・毎朝集合場所までは見に行こう
・しばらくは一緒に歩いて登校してみよう
など、考えが変わるかと思います。そして、登校班の人への伝え方も変わるかと思います。
・いつもありがとう
・もう少し歩くのをゆっくりしてもらえないかなあ?
など、お願いベースになります。
登校班がない学校では、兄弟や近所の方に自分からお願いして連れて行ってもらうことになります。それがうまくいかなければ、保護者の方の送迎になるのです。
登校班がある場合は、先生に相談すれば話し合いの場を設けます。登下校に関しては保護者の方の責任とはいえ、学校は安全に登下校してもらうために、知らん顔はしません。ですので、余計に、保護者の方は学校の責任、学校が見てくれるものだと勘違いしやすくさせているのです。
◆下校グループ
低学年では下校グループで帰ることが多いです。ところが、下校グループを学校で作成し、入学当初に先生が近所まで送るといういわばプラスαのことをしていることで、学校がするのが当たり前だと勘違いを生み出していることがあります。
入学してしばらくは、この送迎に関してエネルギーを費やされる日々です。誤りがあれば訂正のために連絡をいただけたらよいだけなのですが、
と、強く主張される方がおられます。
道をはさんで、「こっちに渡らせておけや!」と怒鳴られた先生もいました。お子さんたちとの1年間の楽しみな気分がどんよりです。一人ひとりの家と登下校ルートを把握するのは無理です。
心配であれば
- お家の方が迎えに来ていただく一人でも帰れるように練習しておく
- お子さんに毎日放課後児童クラブについて確認する
など、対策すればよいのです。あくまでも、先生はお手伝いをしているだけです。その考えがあれば、このような言い方にはならないはずです。
学校によっては、このような送迎がなかったり、保護者の方が入学前にグループを組んで、送迎も保護者という学校もあります。
登校班や送迎がない学校は、保護者の方が何とかしなくてはならないため、登下校は学校が責任もってすることという認識になりにくいでしょう。
登下校を学校任せにするデメリット
先生が登下校は見てくれるのだという考えがあると、お子さんが問題を起こした時に、他責になってしまいます。
と、本来考えなければいけないことからずれてしまうのです。(ちなみに登下校はお家の方の責任とは言え、学校に連絡があれば現場検証と謝罪、その後の指導までがワンセットです。)
お子さんがやってしまったことに目を向けず、お家の方自身が課題に向き合えずにいます。学校の責任として逃げてしまっています。これでは、お子さんが反省して次に活かすという機会が奪われるどころか、マイナスの影響です。
登下校中に友達とトラブルがあっても、本来の原因に目を向けようとせずに、登下校=学校だから、先生に何とかしてもらおうという気持ちにどこかなってしまいます。お家の方が自分の子どものことであるという認識が薄れ、単に結果ばかりを求めてしまうことになります。
そして、次第に学校との考えのすれ違いが起こり、学校はわかっていない!学校は何もしてくれない!となってしまいます。
子どものトラブルの解決の前に、保護者の方の思いのたけの解決が先になり、どんどん本来の解決から遠のいてしまうのです。
お家の方が大人になりきれない
トラブルが長引く原因は、お家の方が子どもと同じ土俵に立つ・同じ目線に立つからだと言っても過言ではありません。下校トラブルにおいても同じです。
お家の方がお子さんにアドバイスするどころか、年下グループの子たちに対して文句が出てくるのです。それではいつまで経ってもお子さんは同学年の友達をつくろうとならないです。年下グループの子たちは成長していっているのです。いつまでも親子で園の時代のままでいるということです。
お家の方が大人の振る舞いを見せてくださることで、ことがスムーズにいくことがあります。トラブルがあった時も、ぐっと飲み込んで、その場を沈めてくれています。
けがをさせたのだから当たり前と言えば当たり前なのですが、なかなか根気強くされており、保護者の方の誠意を見ました。このような場合、一言言いたいことが出てきたりもします。現に言ってしまう方もおられます。また、他責の気持ちが出てきて、責任を逃れたくなるものです。あるあるは、学校のせいにするということです。近所の方とうまく付き合いたいために、最終的に学校を悪者にしてお互いにおさめるというパターンです。
そこを、「けがをさせたのは我が子」ということをしっかりと受け止めて、お家の方が責任もって最後まで対応されておられました。
疲れたり、子どもをかばいたくなると、どうしても、
・うちの子だって
・うちの子だけではない
・なぜうちの子ばかり
と出てくるものです。そこをこらえられるのは、大人です。子どもはこれをよく言います。
しかし、やった事実に対して向き合わなければ、解決策が出てきませんし、前に進まないです。これをお家の方が理解し、いろいろな思いがありながらも、ぐっと飲み込めるかにかかっているのです。
固執してしまっている
学年が上がってもトラブルが起こる原因でよくあるのが、固執してしまっている場合です。
トラブルが続くなら他にも近所の子がいるのだから、違う子と帰ればよいのですが、それがなかなかできないようです。特に女子によく見られます。そのようなよく揉めるグループは、たいてい低学年から何か揉めています。
・あの子が一人になったらかわいそう
と何か嫌なことを受ける側が相手のことを考える子が稀ですがいます。しかし、それは稀で、ほとんどは、固執してしまっています。クラスが変わってそれぞれ友達関係が変わっていても、そこに入りたがる子がいます。
・新しい友達をつくるのが苦手
・その子(グループ)に惹かれるものがある
・新しいことへのハードルが高い
理由は様々ですが、本人は理由がわかっていないことも多いでしょう。
他にもたくさん楽しく過ごせそうな子がいること、名前を挙げたり、軽く斡旋もすることがあります。しかし、戻ってきてしまったり、抜け出せずに、トラブルを続けるということがあります。友達はその子だけではない、他の子と過ごすともっと楽しいことがあると言うことがまだ経験値が浅いためわからないのですね。
中には、仲間外れしているようで、距離を置きたいことを言えない子もいます。“お友達と仲良く”で育ってきているので、それはダメだと考えます。その場合は話をします。しかし、なかなか煮え切らないことも多いです。性格的なもので見守るしかなさそうです。年齢と共にだんだんわかってくることもありますし、そのような優しさで友達関係に苦労することもあります。
しかし、それはその子のよさでもあると考え、見守りながら支えてあげることが大切でしょう。しびれをきらして相手のことを否定したり悪く言ったりしそうになりますが、そこはこらえる高度な大人な対応が求められます。悩みが続くようならば先生に相談するのもよいでしょう。先生にお話ししてもらえると納得するかもしれません。また、クラス替えなどの考慮にも上がってきます。
突発的な行動に出てしまう
・考えるよりも先に体が動いてしまう
・親や先生など大人の監視の下でしか止められない
同じことを何度言っても繰り返してしまうお子さんの特徴です。登下校は、まさに子どもだけの場面となり、体がのびのびと思いのままに動いてしまうようです。
友達が注意したとしても止めるだけの威力はありません。何かことが起こってから、指導となり反省する、その繰り返しとなってしまいます。単独でトラブルを起こすことも多いですが、友達が関わってしまうトラブルも多くお家の方は大変かと思います。毎日同じメンバーとなるので、相手が同じになってしまいがちで、相手の保護者の方が激怒されてしまいます。
相手の方がおられたら、子どもを連れて謝りに行くということが大事です。
相手のお家の方は、いじめに発展しないか、大きな事故が起こらないかなど、今後のことを気にされます。ですので、トラブルを起こしてしまった子どもの保護者の方が、トラブルに関して知っているのか、そして、きちんと子どもに注意しているのかを気にされます。お家の方の真摯な姿を見て安心される方は多いです。
登下校に関わらず、考えて行動できるように少しずつ指導して、身に付けていくことが必要となります。とは言っても、登下校中に突発的に動くことで、大変危険なことにもなり得ます。危なさを合わせて厳しく注意することも必要ですが、何かあってからでは大変です。一緒に登下校することも検討した方がよいでしょう。
トラブルを長引かさない対応策
①長い目で見て何をすべきかを考える
②大人としての立ち振る舞いをする
③登下校の様子を見に行く・付き添う
登下校のトラブルに限らず、①②は鉄則です。この2点ができていないばっかりに、トラブルが長引いたり、ことあるごとにトラブルになったりしてしまいます。
相手がいる場合は、お家の方が納得できないばっかりに、相手の保護者とのやり取り、子どもたちへの聞き取りなどが数日間続くことがあります。
果たして、子どもはこれを望んでいるのか・・・楽しく登下校したいだけなのに・・・という本音すら見失ってしまうくらいこじれてしまうこともあります。
本ブログ「トラブル集」でもご覧ください。
トラブルを起こしてしまった時
今の感情に流されないように気を付けてください。
・子どもをかばいたくなる
この気持ちから、徐々に、ことの真相がわかってくると、
・自分が責められているよう
ということで、他責にはしってしまうことがあるのです。他責にはしると、子どもの成長の機会が奪われてしまいます。自己中心的になってしまったり、嘘をついたり、責任逃れをしようとしたり、、、それでは、今後もトラブルが減るとは言い難いです。
お家の方の言い分、愚痴などは、大人の世界だけにとどめておきましょう。事実は潔く認め謝る、その姿を子どもに見せてあげてほしいです。その姿こそが子どもにとって何よりの学びです。
やってしまったことはよくないことかもしれない、でも、その子自身がよくない子ではないのですから。先生もそんなことは思っていないですよ。それよりも、やってしまった後のことの方が大事だと考えているのです。
自分の子だけでなく、他の子たちも危険なことをしていることを目撃した場合は、みんなに注意しながらも、連絡帳で先生にも知らせておくとよいです。安全に登下校できるために学校と共有しておくことは大切です。連絡いただけたら学校で全体指導ができます。
トラブルに巻き込まれた時
登下校に関するトラブルでは基本保護者の方同士でやりとりすればよいです。また、登下校の様子を見に行き、直接相手の子に注意してもらったらよいでしょう。
気になることは、それが続いたりしないかということです。内容が許容範囲内なら様子を見るのもよいです。その時だけだったということもあるでしょう。話をして、相手の子が「しまった!」と思ってもらうのも一つです。
たびたびトラブルが続く時には種類があります。
・他の子もいるのに対象が同じ子ばかりになっている
・ただ近くにいる
・惹かれる要素がある
お家の方がその子や保護者の方に直接するのはどうしても難しい、話をしたが何度言っても改善されないというのであれば、先生に連絡をしてお願いしてみましょう。
いつもトラブルに巻き込まれてしまう!と感じておられるお家の方に今一度考えてもらいたいことがあります。それは、トラブルにまきこまれないお子さんは、まきこまれていないということです。
しかし、登下校は、下校ルートが同じで、同じメンバーになってしまいがちのため、同じ子がトラブルに合いやすいということがあります。
クラスであれば、距離を置く、関わらないという選択肢もとりやすいですが、登下校となるとそれが難しくなることもあるのです。特に下校グループがつくられている(いた)学校であれば、一緒に帰るものだと固定概念ができてしまっているからです。
子どもだけでなく、保護者もそう考えてしまうこともあるくらいで、距離を置きづらくなり、トラブルを繰り返してしまいます。
・なぜ一緒に帰ってくれない!
・仲間外れだ!
となってしまうのです。
まずは、距離を置くことについてお子さんとじっくり話をするとよいでしょう。距離を置こうとすることが悪いことだと認識してしまっていることもあるので、距離を置くのは大人でもあること、仲間外れや一人ぼっちにさせることの違いを、そのお子さんの理解に合わせて話してあげましょう。
周囲に流されたり、引きつけられて、自らトラブルにとびこんでしまう子も多いです。その場合は、どうしてそのようなことになったのかを説明してあげる必要があります。なかなか自分では理解しにくいかと思いますが、あの子は一緒にいたのになぜ巻き込まれなかったのかなど、比較してみるのも一つです。トラブルに巻き込まれるまでの経緯を順を追って細かく思い出させ、どうしたら同じようなことにならないのか、お子さんの言葉でお話ししてもらいましょう。
気になるようであれば、お家の方が付き添って登下校の様子を見ることをお勧めします。そうすることで、子どもたちの様子がわかり、どうしてトラブルが起こっていたのかなど原因がつかめるかもしれません。また、事前にトラブルをおさえることもできます。登下校まで付き添うのは大変かと思います。しかし、見ないことにはわからないというのも事実です。どうしても気になるようであれば、検討してみてください。
まとめ
登下校のトラブルは、大人が付いていないので余計に心配になると思います。トラブルが継続すると尚のことでしょう。
トラブルを起こしたときも、巻き込まれたときも、冷静になることが必要です。解決したいことは何か、これからどうしていくとよいか、トラブルをどう成長につなげていくのか、そこまで考ていくのが大人の役割です。
- 大人としての対応を子どもに見せていくことが大切
- 一緒に付き添って登下校する気概が必要
安全に登下校してもらうのが一番ですので、保護者の方のお力が必要となります。ご理解いただけたら、お家の方も、「学校が何もしない!」という変な怒りやもやもやから解消されるのではないでしょうか。学校と保護者は、手を組んでいくチーム?仲間?同志?のような関係ですので、怒りの感情で付き合っていては、お子さんにとってもよいことはありませんよね。
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