算数って、つまづくと大変と聞くけど、うちのこ大丈夫かしら。
どういった勉強をしておけばよいのか気になるわ。
そうですね。
算数は、初めは「できているわ~」と思っていても、いつの間にか理解できていなかったということがあります。
宿題を見ていると授業内で理解できるか、それとも、家での支援が必要なのかもわかってきます。
算数は積み重ね教科であり、やり残しがあると次に進むのが難しいです。
高学年でつまづいている場合、1・2年生の算数の考え方が身に付いていないということが多々あります。
5年生の算数は大変難しいのですが、4年生までの考え方を利用しながら解いていくことには変わらないです。
そして、その4年生にしても、1・2年生の考えを利用して考えていくのです。
学年が上がると差がどんどんひらいていく一方です。
また、プライドもあるので、学年が上がると、1・2年生の復習をしたがらなくなります。
差を縮めていくはますます難しくなりますね。
ですので、宿題を定期定期に見て、つまづきにはすぐに気づいてあげることが大切です。
1年生で身に付けるべき算数の学習内容や支援方法をお伝えしますので、宿題を見る時や教える時に参考にしていただけたらと思います。
是非最後までご覧ください。
1学期の学習
4・5月は入門期のため、学習規律を学びます。
その中で、すでに知っているような内容を丁寧に一つずつ学んでいきます。
「数」とはどういうものか、土台をつくります。
そうこうしている間に、重要な「10の合成・分解」を学びます。
10までのたし算・ひき算を1学期に学習しますが、それにつながる「10の合成・分解」が超重要なのです。
数の学習~10までの数~
まず、10までの数の学習です。
1=●
2=●●
3=●●●
数字がわかっていても、2というものは1個が2個ということを体感してもらいます。
100まえ数えられのと、このことがわかっているのとは別です。
みんな「知ってる~」という感じで初めこそ意気揚々ですが、徐々に飽きてくるところです。
簡単でありながら、くどくどと時間を使うからです。
しかし、「なんとなく知っている数字」を、確実なものにしていく内容ですので、とても重要なのです。
授業では、数図ブロックなどを操作しながら学びます。
1年生の学習では実物を実際に動かし、身をもって体感することが大事です。
「りんごが3個」では、実物(りんご)があればよいのですが、学校では用意することは難しいので絵などを使用します。
子どもたちに絵を用意することも難しいので、数図ブロックなどを利用します。
1個増えると2になる
1個減ると1になる
ということを1から10まで、具体物を操作しながら数を学びます。
漠然としている数の概念をはっきりと明確にさせていきます。
実物でも絵でもブロックでも〇を書いても同じように思えますが、1年生にとっては全く違うようです。
ですので、お家で学習する時には、できるだけ実物(あめ、豆など)を使うとよいですよ。
1から10までの数と記しましたが、「0」は別枠で学習します。
「0」は子どもたちにとって「簡単!」扱いになっていますが、意味は難しいからです。
たし算・ひき算の土台~数の合成・分解~
10までの数なんて知ってる~!と言ってる間に、あれよあれよと、たし算・ひき算の学習になります。
しかし、その前にひっそりと、なんだこれ?という内容が入っています。
「いくつといくつ」という数の合成・分解の学習です。
数 | 合成 | 分解 |
●○〇〇〇 | 1と4で5 | 5は1と4 |
●●〇〇〇 | 2と3で5 | 5は2と3 |
・・・ | ・・・ | ・・・ |
●●●●●●●●●○ | 9と1で10 | 10は9と1 |
表をご覧の通り、これはたし算・ひき算とやっていることは同じなのです。
「+」「-」という記号を学ぶ前に、考えの土台づくりをしているのです。
子どもたちは、学校=算数=たし算・ひき算と思って入学してきます。
たし算・ひき算を学ぶまでに、長い道のりがあります。
ようやくたし算・ひき算に入ると、知ってる~!と喜びますが、実はそれまに数の畑を十分に耕してあげることが必要です。
この言葉が難しく、テストで点をとりにくいところです。
・4と3で□
・□と3で7
・7は4と□
・7は□と3
7をつくる数、「7の仲良しさん」の問題です。
全て同じことを問いているのですが、下の3は難しいです。
このような「仲良しさん」を理解し、すらすら言えることがたし算・ひき算につながります。
そして、特に覚えておかないと困るセットが「10の仲良しさん」です。
10の仲良しさんは、
1と9 9と1
2と8 8と2
3と7 7と3
4と6 6と4
5と5
です。
とは言っても、数の合成・分解の学習は5から10までを順番に、1つの数で1時間か2時間ずつぐらい学習して終わりとなります。
この3つの関係(例2・8・10)を理解して覚えるまでは難しいでしょう。
一つの数でも、いろいろな分け方があり、数の組み合わせがいろいろあるということが分かればよい方です。
たし算・ひき算を学習に慣れてきた頃に、たし算とひき算の裏表の関係に疑問をもつ子もでてきます。
7+2=9 9-7=2 9-2=7
あれ?となるのです。
しかし、大半は数の合成・分解の意味をはっきりと理解しないまま、たし算・ひき算の計算はしているという感じです。
大事な考え方「合成・分解」ですが、例えはっきりとこの関係に気づいていなくても、10までのたし算・ひき算は、2学期までにすらすら言えるようにはしておきましょう。
そうしなければ、2学期の「繰り上がり・繰り下がりの計算」には進めないからです。
特に、その中でも答えが「=10になるたし算」と「10-になるひき算」はすぐに答えが出るくらい確実に身に付けおきましょう。
繰り上がりのあるたし算・繰り下がりのあるひき算は絶対
2学期から繰り上がりのあるたし算と繰り下がりのあるひき算を学習します。
・8+5
・12-6
というものです。
2学期までに10までのたし算・ひき算、特に「10の合成・分解」(「=10のたし算」「10-のひき算」)ができていないと、ここからが大変になります。
なぜなら、手を使うにしてもややこしくなるからです。
・8+5
8を10にするために5から2をあげる。
10と残りの3で13
式にすると
10=8+2,5-2=3
⇒10+3=13
これを瞬時にしていくわけですが、そもそも10になる数がわからなければ、手を使いながら数え足しになります。
8・9・10・11・12・13という具合です。
これでは大変です。
せめて、10の仲良しセット(8と2)がわかっていれば、手を使うのは5-2だけですみます。
ひき算も同じです。
・12-6
12を10と2にわけて、10から6をとって4
4と残りの2を合わせて6
式にすると
10-6=4,2+4=6
これも、10の仲良しセット(6,4)が分からなければ、手ですることになります。
それはそれで器用に数えていますが、やはり大変です。
ひき算においても、10をつくる数、仲良しセットが必要になるのです。
そして、この繰り上がりのあるたし算・繰り下がりのあるひき算は、2年生のひっ算で必要不可欠ですし、3・4年生のかけ算・わり算のひっ算でも使用します。
ひっ算はいくつもの工程があり、手で計算していると、時間がかかるだけでなく、途中で何をしているのか分からなくなります。
新しいひっ算の方法を覚える余裕なんて出てきません。
ということで、この繰り上がりのあるたし算・繰り下がりのあるひき算は、小学校の算数の80%を占めると思っておいてよいでしょう。
家庭での学習方法
宿題でつまづいていても、少し説明して解けていれば大丈夫です。
しかし、いつまでも同じ内容で説明が必要、もしくは、説明しても理解できていない場合は、その問題をしているだけでは、問題の解決に至らないことがあります。
数に慣れて、数の概念を育んでいくことが必要かもしれません。
具体物を使い、ゲーム感覚で練習していきましょう。
例①手の中にはいくつ?ゲーム
お家の方がブロックなどの小さなものをいくつか握って、ぱっと手をひらいて見せます。
その数を即座に言うゲームです。
数は5個まででよいです。
慣れてきたら、5秒で手をとじる(4秒、3秒と少なくしていく)など、変化をつけて難しくしていくとおもしろいです。
入学までには、5個までのものを見て、ぱっと数が言えるようになっておいてほしいのですが、これでつまづいているお子さんもおられます。
指を1本、2本、3本、4本、5本とたてて、ぱっと言えるかでわかります。
5までがぱっと言えないと、例えば、
6+3を手で考えるとしても、数図ブロックなどを使うとしても、
①6を1・2・3・4・5・6と数える
②3を1・2・3と数える
③9(6と3)を1・2・3・4・5・6・7・8・9と数える
というように、全て1から数えることになります。
5までがぱっとわかれば、
①6を5・6と数える
②3を入れる
③9を7・8・9と数える
随分と労力が違ってきます。
ぱっと見てわかる数が何かによって、数え始めるところが変わってきます。
例えば、4までならわかるなら、4・5・6と数え始めます。
ところが、3までくらいがやっとの場合は、①で6を数えていても、②の作業をして③をする時には、6・7と数えるのではなく、1から数え始めることが多いです。
お子さんがどのように数えているのかを見ていると、どういった勉強が必要かのヒントになると思います。
ぱっと見て5までの数がわかるというのは、大事な力です。
このゲームは、ぱっと見て数とものが一致するための練習となります。
ことあるごとに練習して慣れていきましょう。
練習として何分間もするのではなく、
・ラムネやあめなどのお菓子を食べる時や
・豆の皮をむいた時
・ペットボトルのキャップがたまった時
など、日常的な中で、1度に数回を繰り返して習慣にしていくとよいかもしれません。
例②積み木積み競争
積み木を積むというのは、数の量感を養うためです。
ブロックをたてに積むと高さが出ます。
低い・高いで、多い・少ないを実感します。
数図ブロックや、小さな積み木など、同じ大きさの物を10個用意しましょう。
卵パックなど、10個が1個1個入るケースに入れておくと、今後の学習につながるのでさらによいです。
そして、10までの数字をお家の方が言い、その数を速く積みあげます。
量感だけでなく、10個の中から数をとることで、数字と数を一致させていきます。
もし、大きな数がぱっととれるようになっていたら、この練習は終わってよいでしょう。
例えば、8と言われて「5」と「3」、「4」と「4」というように、ある程度のかたまりでとれるということです。
この場合、「5」までの量感をかたまりで理解できており、さらに、「5と3で8」「8は5と3」と理解しているからです。
ぱっととれなくても大丈夫です。
楽しく繰り返し、たてに積んで量感を養い
ましょう。
子どもが好きな遊びの中で楽しく自然と身に付けていきます。
お家の方と競争すると盛り上がるでしょう。
勝ちたいので、速く数を数えるようになります。
お題の数は誰かに言ってもらってもよいですし、トランプなどをめくって決めるとドキドキ感が増して脳の刺激になってよいです。
例③数合わせゲーム
数の合成・分解を理解するゲームです。
たし算・ひき算につながります。
例)
①反対側は何個?
8個のあめがあるよ(見せる)
右にこれだけ(見せる)
左は何個?
ここでも、あめやラムネなどのお菓子ですると頑張れそうですね。
②トランプ合わせ
裏返して置きます。
・2枚めくって10になればもらえる
・2枚めくって数を言えたらもらえる(10を超えたらアウト)
ジョーカーが出た場合のルールを決めてもおもしろそうですね。
トランプの量は慣れるまで少なくしておくのがよいでしょう。
計算カードの活用
様々なゲームや具体物を通して、数感覚を養い、数を身に付けていくことは、今後の算数を考えると大切でしょう。
しかし、なかなか理解できない場合、理解面はひとまず置いておいて、たし算・ひき算をとにかくできるようにしてしておくというのも一つです。
たし算・ひき算の計算カードを使用して、覚えてしまうのです。
タイムを計るなど、モチベーションを保てるようにしながら毎日練習しましょう。
計算カードは、理解ができているお子さんにも有効的です。
やればやるほど計算が速くなります。
速くなるためには、計算カードの持ち方とめくり方をまずは教えてあげましょう。
速くなってきたら、シャッフルします。
使い方多数100玉そろばん
ぱっと見て数が分かるようになっていたり、実際に操作できたり、よくできているつくりになっている「100玉そろばん」というものがあります。
10個の玉が横1列に並んでおり、それが10段あります。
つまり、100個の玉がセットされています。
玉はそろばんのように棒にささっており、左右に動かせます。
100玉そろばんを使用している学校もあります。
一人に一つずつあるわけではなく、先生が前で大きいものを提示することがほとんどでしょう。
数の基礎を学ぶのに幅広く使用できます。
・数の順序
・ぱっと数をとらえる
・数の合成・分解
・2とび・5とび・10とび
・たし算・ひき算
・何十+何十・何十-何十の計算
学校ほどの大きなものではなく、個人使用できるよに小さいものも売られています。
こういったものを遊びながら操作して、数感覚を養っていくのもよいでしょう。
まとめ
1年生の算数最重内容「繰り上がりのあるたし算・繰り下がりのあるひき算」の学習は2学期にあります。
そして、そこにつながる学習が1学期から始まっています。
ですので、焦って「繰り上がりのあるたし算・繰り下がりのあるひき算」をいくらやっても身に付かないということもあり得ます。
授業の理解に時間がかかる場合は、機械的に覚える方がよいか、理解した上で覚えていく方がよいか、数の概念をもっと養っていく方がよいかなど、お子さんに合わせて勉強してく必要があります。
どれが合うかは、やってみないと分からないことも多いので、様々に試してみるとよいでしょう。
もう一度1学期の学習に戻って学習し直すことが、一番の近道になります。
1年生であれば、戻る分も少しですみます。
焦らず、一つずつ積み上げていってください。
お子さんに教えようとしても嫌がるお子さんもおられるかと思います。学習系習い事を検討して専門家を頼るのも一つです。
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