記事内に広告が含まれています。

現役教員が語る、不登校の朝に「親が自分を責めなくて良い」3つの理由

現役教員が語る、不登校の朝に「親が自分を責めなくて良い」3つの理由 その他

「今日も行けなかった」

玄関で立ち尽くしたまま、時計の針だけが進んでいく。
ランドセルは廊下の隅に置かれたまま。
家族みんなが、そのランドセルを意識している。

「明日は行けるかな」「どうしたら行けるようになるんだろう」
焦りながら、できることを探すうちに、親御さん自身が疲れ切ってしまう。

そして、夜になると思うのです。
「なんで、うちの子が」
「私の育て方が、いけなかったのかな」

そんな毎日の中で、親御さんまで自分を責めなくて大丈夫です。

ありきたりの言葉かもしれませんが、そう思うのです。

なり先生
なり先生

親子を苦しめる「学校」ってそもそも何だろう。こんなにも苦しめるのは、「登校」が目的になっているからではないか。本来は登校が目的ではない。では、学校の目的って何?その目的を果たすには学校しかないの?
25年以上教員をしてきて、ふと考えはじめたのです。

不登校の朝、親御さんへ。自分を責めなくて大丈夫

不登校の朝、親御さんへ。自分を責めなくて大丈夫

何をしてよいかわからなくなった親御さん

これまで、たくさんの親御さんを見てきました。

仕事を辞めた方もいます。
働き続けていても、職場の理解がなければ、家に子どもを残していくことが心配でたまりません。

「甘やかしているのでは」と言われて、肩身の狭い思いをされた方。
父親の理解が得られず、ひとりで抱えておられた方。
親戚の集まりに行くのがつらくなった方。
ママ友と会うのを避けるようになった方。

それでも朝になると、手をひいて、車がないから歩いて学校まで連れてこられる。
家では、押したり引いたり、あれこれ試しておられる。

みなさん、必死です。

25年以上見てきて、何もしていない親御さんには、ひとりも会ったことがありません。

お子さんに向き合い、何ができるかいろいろと試して、頑張ってこられた親御さんばかりです。

「不登校」の多面的な現実

文部科学省の調査では、小中学校で学校に行けていないお子さんは約35万4千人。
12年続けて増えています。

文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」

35万人という数字は、35万通りの事情があるということです。
そして、その事情は家庭の中にあるとは限りません。

心が少し軽くなりますように

実は、私も以前は「どうしたらこの子が学校に来られるようになるか」ばかりを考えていました。
でも今は、その子に何が必要かを見極めることが先だと思っています。

25年以上見てきて、気づいたことがあります。
学校へ戻っていく子もいれば、学校以外の道で自分らしく花開く子もいる、ということです。
どちらも、その子にとっての正解でした。

この記事では、親御さんが自分を責めなくていい理由を、3つお伝えします。
読み終えたときに、少しでも肩の力が抜けていたら嬉しいです。

理由1:不登校は親の育て方の問題じゃない

理由1:不登校は親の育て方の問題じゃない

「私のせい?」その不安は的外れ

家庭訪問に伺うと、たいていは穏やかなご家庭です。
学校にも協力的で、先生にも丁寧に接してくださいます。

むしろ、疲れておられる中で、気を遣いすぎなくらいの親御さんも少なくありません。

「育て方が悪かったのでは」と言われる方ほど、丁寧に育ててこられています。

不登校の根っこは多岐にわたる(学校で見られる例)

たとえば、こんな子がいました。

夏休み明けの始業式には登校していたものの、表情が浮かず、以前仲の良かった友達と過ごす姿が見られなくなりました。
その後も数日は登校していましたが、やがて欠席するように。
家庭訪問で話を聞くと、夏休みに友達との間でトラブルがあったことが分かりました。

家庭の中に、原因はありませんでした。

きっかけになりやすいのは、こういったことです。

  • 学校の環境……教室のざわつき、行事の多さ、担任との相性
  • 友達との関係……大きなトラブルでなくても、小さなすれ違いから
  • 学習のつまずき……「分からない」が積み重なる
  • 体調の変化……生理痛、起立性調節障害

ひとつではなく、いくつもが重なっています。
だから「これさえ直せば」という特効薬がありません。

学校で見てきた発達特性と不登校の関係

不登校と発達の特性は、必ず結びつくものではありません。

ただ、通級指導教室で見てきた中では、特性が重なっているお子さんに出会うことは少なくありません。

そして、しんどくなっていく順番は、たいてい同じです。

  1. 特性に気づかれないまま過ごす。
  2. 「わがまま」「甘え」と受け取られ、注意される場面が増える。
  3. 自己肯定感が下がっていく。
  4. そして、学校がつらい場所になる。

診断があるかどうかは、あまり関係がありません。
周りから見れば、どちらも同じ「困った行動」に見えるからです。

とくに、こんな場面ほど、しつけの問題だと受け取られます。

  • 衝動的に手や暴言が出る
  • 順番を抜かす
  • みんなと同じ時に同じことをしない
  • 課題を終わらせない

家庭で気づきにくいのも、無理はありません。
家では、その子のペースで進められます。
困り感が出てくるのは、集団に入ってからです。

園が自由保育だったり、少人数だったり、活動が中心だったりすると、小学校で授業中心の生活になって顕著になることもあります。

園によっては個性として捉え、保護者に伝えないというケースも最近では実際多いです。

「あんなに元気だったのに、急に」と感じられるのは、そのためです。

これも、育て方の問題ではありません。
特性が環境と噛み合わなかっただけです。

やらなくちゃと思う真面目な親御さんがはまる落とし穴

完璧な親御さんなど、どこにもいません。
そして、完璧に導いたとしても、不登校は起こります。

親御さんとお話ししていると、よく聞く言葉があります。

「あのとき、休ませていれば」
「あのとき、無理にでも行かせていれば」

正反対のことを、みなさんおっしゃいます。

でもそれは、結果を知ったあとだから言えることです。
その時点では、どちらが正しいか、誰にも分かりませんでした。

そして、子どもは一人ひとり違います。
よその子に合った方法が、そのままわが子に合うとは限りません。

「うちはこうして戻れた」
「早く動いたほうがいい」

そういう声に、振り回されなくて大丈夫です。
その方々もよかれと思っているけど、結果後だから言えることです。
他の人の正解は、その子の正解ではありません。

参考にされるのはよいですが、その声で自分を責めることとは違います。
できることは、もう十分にやっておられます。

理由2:子どもが不登校を選んだのは、自分を守るための行動

理由2:子どもが不登校を選んだのは、自分を守るための行動

行かない選択が子どもが自分を守るための「最善策」となり得る

親御さんにとって「学校に行かない」は、大きなショックだと思います。

「なんでうちの子が」
「みんなできていることがなぜできない」

でも、お子さんの側から見ると、違う景色が見えてきます。

しんどい場所から離れる。
それは、自分を守るための、いちばん確実な方法です。

大人でも、体調を崩したら会社を休みます。
お子さんがしているのは、それと同じことです。

学校がつらいときどうしてる?子どもは黙って耐えてます

学校で無理をしている子は、黙っています。

教室では、困った様子を見せません。

  • 学習がわからなくても投げ出さない
  • グループ活動に入って活動する
  • 時間に追われる中で間に合わせようとする
  • 嫌だったことを言わない

しんどさが出るのは、家に帰ってからです。

だから、学校で見えている姿だけでは分かりません。
家で見せている姿のほうが、本当の姿です。

そして、その理由を言葉にできないことも多いのです。

「行きたくない」とは言うものの、なぜ行きたくないのかを本人もうまく説明できない子がいました。
友達、学習、学校生活など、一つずつ確認しても明確な理由は出てきません。
そこで一つの原因に決めつけず、学校での様子や本人との会話、家庭からの情報を合わせながら状態を見ていきました。

理由が言えないから、しんどくないわけではありません。
むしろ、言葉にできないほど積み重なっていることのほうが多いです。

とくに、自分なりの筋道をしっかり持っているお子さんは、抱えやすくなります。

「こうあるべきなのに、そうならなかった」

その納得のいかなさを、うまく言葉にできないまま持ち帰ります。
そして、安心できる家で、あふれます。

家で崩れるのは、家が原因だからではありません。
そこが、やっと安心して出せる場所だからです。

「この子は自分を守る力がある」という視点に切り替えてみる

「行けなくなった」ではなく「自分で止まれた」。

そう見方を変えてみると、少しだけ気持ちが変わります。
壊れる前に、止まれたのですから。

ようやく出せた大切な声です。

理由3:不登校は「学びを止めること」じゃない

理由3:不登校は「学びを止めること」じゃない

学校に行かないと学びが止まる?「学びの形」を広げてみる

親御さんがいちばん不安なのは、お子さんの将来のことだと思います。

「このまま勉強が遅れたら」
「進学できなかったら」
「いつまで続くのか」

ただ、学ぶ場所は、学校だけではありません。

学校の授業は、話し合いや発表を含めて、集団で学ぶ形で進みます。
だからこそ、一対一や自分のペースで学べば、同じ内容をずっと速く進められることもあります。

学習の遅れは心が整ってくると、親御さんが心配されているよりもずっとはやく取り戻せます。

なり先生
なり先生

3年生から五月雨登校から不登校、6年生からフリースクールに行きはじめ、個別学習を始めた子がいました。中学で部活が転機となり登校するようになりましたが、授業にもしっかりついていっていました。こういったことはよくあります。

通信制・フリースクール・家庭学習などその子に合った選択肢

  • 教育支援センター(適応指導教室)
    自治体が運営し、費用がかからないことが多い。
    学習や活動など、フリースクールのようなイメージ。
  • フリースクール
    民間の施設で、方針はさまざま。
  • 家庭学習
    市販の教材やプリントを使い、家で進める形。
  • 習い事
    家庭教師、塾(集団・個別)、公文や学研などがある。
    誰かと対面となる。
  • オンライン学習
    自宅で、自分のペースで進められる。
    家庭教師や、タブレット学習など多様。
  • オンラインフリースクール
    オンライン上の学校に通い、先生や仲間がいる。
    聞くだけの参加もできる。
    個別学習や動画の授業、部活動のような興味のある活動に取り組める。

どれが優れているということはありません。
お子さんに合うかどうかだけです。

なり先生
なり先生

私がオンラインフリースクールを知ったのは不登校の親御さんからです。そこから、お子さんの選択肢が増えるのではないかと興味を持ち調べはじめました。

家庭やフリースクールでの学習が、出席として認められる場合があります。
文部科学省が示している仕組みで、条件はありますが、受験などで出席が気になる方はご覧ください。

不登校の出席扱いを学校に認めてもらう条件と頼み方

なり先生
なり先生

多様な選択肢がありますが、その分、内容と料金が見合っていない、または、思っていたサービスと違ったという不登校ビジネスが多くなってきています。個別でやられているところは、肩書だけで選択しないようにしてくださいね。

「学校」という箱の外でも成長し続ける子たち

実際に、こんなお子さんがいました。

発達障害があり、学校になじめないまま、小学校の高学年から中学にかけて行けなくなった子です。
親御さんは、いらだつことも、不安をぶつけることもなく、そのままのその子を認めていました。
その子は「高校には行きたい」と考え、中学から自宅で勉強を再開。
今は、自分で選んだ通信制の高校に、休まず通っています。

学校を離れていた期間も、この子は成長し続けていました。

こういう姿を何度も見てきました。

フリースクールで、自分の学びたいことに夢中になっている子。
土日はスポーツチームで、友達と練習や試合を楽しんでいる子。

なり先生
なり先生

卒業式は放課後に個別で行いましたが、チームの仲間がお祝いに来てくれていました。学校が全てと考えると、その子の居場所や学びを否定しまっていることになりますよね。

学校を離れていても、その子の世界は動いています。

まずは親御さんの心。子どもはそこからついてくる

まずは親御さんの心。子どもはそこからついてくる

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

「解決にいたらない」「ありきたりのことだ」と思われたかもしれません。でも、ここが整わないと次に進めないのです。

長い目で見て、どんどんしんどくなるパターンにはまってしまうのです。その状況も見てきました。

だからこそお伝えしたい3つ。

  1. 自分を責めないでください。不登校は、親の育て方の問題ではありません。
  2. 学校を休むことは、お子さんが自分を守るための行動です。
  3. 学校を離れても、学びは止まりません。

親の笑顔は最強の子どもの支援

親御さんが自分を責めなくなったとき、家の中の空気が変わります。

お子さんは、親御さんのつらさをひしひしと感じています。
「お母さんに悪いなあ」
そんな様子に見えなくても、罪悪感を抱える子がほとんどです。

今は口にしていなくても、あとからぽつりぽつりと話してくれる子もいます。

お母さんの変化にいちばん早く気づくのは、お子さんです。

こんなご家庭がありました。

「みんなと同じようにさせないと、癖がついてしまう」

そう思って、必死に頑張ってこられた親御さんでした。

でもあるとき、ふっきれたのです。
教室でなくてもいい、と。

そこから、その子は別室に元気に通うようになりました。
その子にとっては、今はそこが必要な場所だったのです。

先に動いたのは、お子さんではありませんでした。
親御さんのほうでした。

だからと言って、「何かをさせる」ということが、動くということではありません。

「家をゆっくりできる場にする」
それも大事な親御さんが動いた瞬間ですよ。

今必要としている場所が、この先もずっとそこを必要とするとは限らない。

だから、焦らなくてよいと言えるのです。それよりも、今、必要としているところで、必要な学びをしていないと、どこかで崩れるということです。

一人で抱え込まないで。学校に相談すると進展する?

「学校は何もしてくれない」と感じておられるかもしれません。

不登校の課題は、これをやったらすぐに解決するというものではありません。だからこそ、わかりにくいかもしれませんが、学校側はこのように動いています。

  • 担任
    欠席が続くと、本人と家庭の様子を確かめ、学年や管理職に共有
  • スクールカウンセラーとの連携
    本人でも保護者でも面談ができる
    月1週1日などの勤務なので予約が必要。枠がすぐ埋まるが、不登校、五月雨登校など深刻なときは優先されやすい。
  • 養護教諭
    体調の変化から気づくことが多く、別室での受け入れ役にもなれる
  • 別室登校
    人手が足りないというのが現状。学校によって可能なところと不可能なところがある。ただし、それに代わることはできないか検討される。
  • 教育支援センター
    自治体が運営する、学校外の通える場。

正直にお伝えすると、先生も迷っています。
連絡したほうがいいのか、そっとしておくべきなのか。
遠慮して連絡が減っているだけで、忘れているわけではありません。

スクールカウンセラーの提案も、親御さんは受け入れるかとタイミングを伺っていることがあります。

なり先生
なり先生

その他にも、必要に応じて「この子の場合には」「このご家庭の場合には」と公的なサービスなどを探して紹介してくれます。例えば、「働けなくなり経済的にしんどい」「親自身のメンタルがやられてきている」なども遠慮せずに相談すればよいですよ。

焦らなくて大丈夫です。
ゆっくり、一緒に探していきましょう。

家庭でできるオンライン学習の詳細が気になる方はこちらの記事にまとめています。

【2026年比較】オンライン学習の選び方を現役教員が解説

コメント