子どもが学校に行かなくなった。この先どうなるんだろう、親として何をすればいいんだろう。
頭の中がぐるぐるして、眠れない夜を過ごしていませんか。
教員として25年以上、不登校の子とその親御さんを見てきた立場から、まず一番大切なことをお伝えします。
今すぐ全部をなんとかしようとしなくて大丈夫です。 不登校には「時期」があり、やるべきことは時期ごとに違います。順番を間違えて、まだ動いてはいけない時期に学校復帰や勉強を急ぐと、かえって長引きます。

この記事では、25年以上多くのお子さん・親御さんを見てきた現役教員が、不登校になった時にやることを時期順に整理します。今どの時期にいるかが分かれば、次の一歩が見えてきます。
不登校には「時期」がある|今は動く時期か、待つ時期か
不登校への対応でいちばん多い失敗は、「今やるべきでないこと」を、良かれと思ってやってしまうことです。
まだ休養が必要な子に登校や勉強を促して、かえって長引かせてしまう。
これは本当によくあります。
それを防ぐために、大まかな「時期」を知っておくと役立ちます。不登校は、ゆるやかに次の3つの時期をたどることが多いとされています。
- 休養期:
心と体が消耗しきっている時期。とにかく休むことが最優先 - 回復期
少しずつエネルギーが戻り、退屈や「何かしたい」が出てくる時期 - 活動期
外の世界や次の一歩(学び・居場所・登校)に、本人から手が伸びる時期
大切なのは、この時期は行ったり戻ったりするということ。
順調に進んだように見えて、また休養期に戻ることもあります。それは後退ではなく、自然な波です。「今この子はどの時期にいるかな」という目で見ると、次にやるべきことと、やらないほうがいいことが見えてきます。

※ここでお伝えするのは目安です。特に、はっきりした原因がある場合や、心身の不調が続く場合は、時期にかかわらず学校やスクールカウンセラー、医療機関に相談してください。
【休養期】まず心と体を回復させる
学校に行けなくなった直後は、子どもの心と体が消耗しきっている時期です。この時期に一番大切なのは、追いかけて理由を探すことではなく、家を安心できる場所にすることです。
理由を問い詰めない
「どうして行けないの?」「何かあったの?」
聞きたくなるのが親心です。でも、問い詰めるのは逆効果になることが多いです。子ども自身、理由がうまく言葉にできないことも多いからです。言いたくなったら、子どもは自分から話します。
だからこそ大事なのは、「言いたくなる雰囲気」をつくっておくこと。「いつでもあなたの味方だよ」というスタンスで、そっと待つ。これは放置や無関心とは違います。
関心は持ちながら、追い詰めない。その距離感です。
家の「空気」が子どもに伝わる
ここが、意外と見落とされがちでとても大切な点です。
不登校が続くと、ご家庭の空気はどうしても暗くなりがちです。
親御さんの疲れ、不安、いらだち。当然の感情です。無理もありません。
でも、そのため息や暗い表情、夫婦のけんかを、子どもは敏感に感じ取っています。
そして、こう思うのです。「自分のせいで、家がこんなふうになってしまった」と。
その罪悪感が、子どもをさらに落ち込ませ、いっそう内にこもらせてしまう。
親の暗い空気が、回復を遠ざけてしまうという悪循環です。
だからこそ難しいことですが、できるだけ家の中では普段どおりの、ほっとできる空気を保ってあげてください。
それは「無理に明るく振る舞う」こととは違います。「あなたがいてくれるだけでいい」が伝わる家であれば、それで十分なのです。
そのためには、親御さん自身が抱え込まないことが欠かせません。これはこの記事の後半で詳しくお伝えします。
「家で休ませる」だけが正解じゃない!外に出られるなら出ておく
不登校というと「まず家でゆっくり休ませる」が定番です。それは間違いではありません。
ただ、すべての子に、家にこもることが必要なわけではない、ということも知っておいてください。
子どもによっては、家の外に出ること自体は嫌がっていないことがあります。
その場合は、外に出られるエネルギーがあるうちに、外に慣れておくのも一つです。ずっと家の中だけで過ごさせる必要はありません。
ポイントは、「出たがらない理由」を見極めることです。
- 外に出ること自体を嫌がっていない子
公園、買い物、ちょっとしたお出かけなど、どんどん誘ってかまいません - 人目が気になる子(友達に会うのがつらい、など)
近所は避けて、少し遠くへの外出を提案してみる。知り合いに会わない場所なら、出られる子は多いです。
つまり、避けたいのが「外そのもの」なのか、「知っている人に見られること」なのか。
理由が分かって、それを避けられるなら、外出はどんどんしていい。
外の世界とのつながりを細くでも保っておくことが、後の回復期に「次の一歩」を踏み出す土台になります。

推し活やおいしいものを食べに行くなどでリフレッシュするのもありです!
昼夜逆転・ゲームばかり…どう向き合うか
不登校の子を持つ親が、ほぼ全員ぶつかるのがこの悩みです。結論から言うと、取り上げて解決することは、ほとんどありません。
昼夜逆転になる2つの理由
不登校では、朝に眠いとそのまま寝てしまい、昼間に活動しないので疲れずに昼夜逆転になりやすいです。しかし、生活リズムの乱れ以外にも、昼夜逆転には大きく2つの背景があります。
1つは現実逃避です。
昼間は「学校に行っていない自分」と向き合わされる時間。だから、みんなが起きている昼を避け、夜に活動が移っていく。これは怠けではなく、つらさから自分を守る反応です。
もう1つは特性です。
発達障害のある子は、もともと睡眠リズムが乱れやすい傾向があります。この場合は「気持ちの問題」として叱っても解決しません。

心配ですがどちらにしても、無理やり起こして生活リズムを正そうとすると、親子関係がこじれるだけで終わることも多いのです。
回復とともに自然に戻っていくケースも少なくありません。継続されるようであれば医療を頼るのも一つです。高学年から中学生くらいの思春期のお子さんは起立性調節障害を疑うことも必要になってきます。
「ゲームばかり」を責める前に
ゲームも一つには現実逃避です。でも、それだけではありません。
特に思春期の子にとって、オンラインゲームは大事な「居場所」であり「つながり」であることがあります。
画面の向こうに、一緒に遊ぶ仲間がいる。学校とのつながりが切れた子にとって、それが唯一、心を許せる人との接点かもしれないのです。
そこを「ゲームばかりして」と責め立てると、どうなるか。
その子から居場所を奪うことになります。そして「親は何もわかってくれない」と、心の扉を閉じてしまう。
よかれと思った一言が、一番大切なつながりを断ち切ってしまうことがあるのです。
だから、まずはその意味を理解してあげてください。ゲームは、今のその子を支えているものかもしれない、と。
心配なら「取り上げる」より「広げる」
とはいえ、依存のように見えて心配なこともあると思います。
そのときも、取り上げるのではなく、つながりを別の安心できる場所にも広げる方向で考えてみてください。
例えば、オンラインのフリースクールという選択肢があります。ここなら、ゲームのような楽しさも、オンラインでの人とのつながりも、安心できる環境の中で持てます。
同じ「画面の中のつながり」でも、そこには同じ立場の仲間や、見守ってくれる大人がいます。ゲームを否定せずに、世界を少し広げてあげる方法です。
【回復期】動き出すサインと次の一歩
休養が足りてくると、子どもは少しずつ動き出します。その一歩は、多くの場合「教室への完全復帰」ではなく、もっと小さな形で現れます。
「ここなら来られる」場所から始まる
学校側には、教室以外にも子どもを迎える場所があります。放課後の教室、別室、通級指導教室など。最初はどの子も不安そうにやってきます。でも、そこが安心できる場所だと分かると、表情が変わっていきます。
そして、「ここなら来られる」と週に1回、1日に数時間といった形で、自分のペースで通い始めます。場所を用意することで動き出せるなら、それは完全に家にこもった状態ではなく、外に出られているということ。大きな一歩です。
ここで知っておいてほしいのは、そこからすぐ完全復帰になるわけではないことです。
むしろ、ここから時間がかかることが多い。焦らず、この「小さく通えている」状態を大事にしてください。
小さな選択を本人が積み重ねる
別室登校では、子ども自身が選んでいきます。
いつ、どの授業なら教室に行けそうか。多くは、体育・音楽・図工など、好きな時間から始まります。
そして、休み時間や給食など「友達との関わり」の場に行けたら、それは大きな前進です。
不登校でも、友達との時間そのものは楽しんでいる子は少なくありません。ハードルになっているのは友達ではなく、教室という空間、学習の環境のほうなのです。
そこには、苦手意識、自信のなさ、「うまくやっていけるだろうか」という不安があります。
だからこそ、「好きな時間・安心できる場所」から、本人の選択で少しずつという順番が理にかなっているのです。
学習と居場所は家からでも準備できる
教室に戻る一歩を後押しするために、家庭からできることもあります。
ハードルになっている「学習の不安」は、家庭学習で先に和らげておけます。

勉強の心配をしていないようで、実は子どもはすごく勉強への焦りを感じていることが多いです。
「勉強が遅れている」という自信のなさが軽くなれば、教室への一歩も出しやすくなります。取り戻し方はこちらで解説しています。
また、「学校の別室にはまだ行けない」という段階でも、家から通える居場所があります。オンラインのフリースクールなら、安心できる環境で人との関わりを持てるので、外の世界への練習にもなります。
最初の1回が次につながる
放課後登校でも別室でも最初の1回がとても大切です。
そこで「安心できる」「ここならやっていけそう」と感じられると、「また来てもいいかな」「頑張ろうかな」と思える。この小さな成功体験が、次の一歩を生みます。
逆に言えば、エネルギーが戻っていない段階では、先生が誘っても放課後登校や別室には来られません。来られたということ自体が、回復のサインでもあるのです。
【学校の中では】「次の一歩」を学校はどう受け止めているか
子どもが動き出したとき、親からは見えないところで、学校も動いています。ただ、ここで正直にお伝えしておきたい現実があります。
別室登校はどこでも簡単にできるわけではない
「別室登校」「保健室登校」という言葉はよく聞きますが、実は、どの学校でも当たり前に用意できるものではありません。 理由は、はっきり言えば人手不足です。
別室で子どもに付き添うには、誰かがその時間そこにいなければなりません。多くの学校では、管理職や、たまたま手の空いた先生がやりくりして対応しています。
保健室も、体重測定や検診、けがの手当など多くの子どもの対応で動いています。「保健室にいればいい」と簡単にいくわけではないのです。
通級指導教室も検査を受けて必要と判断されれば通える可能性がありますが、空き状況によって変わります。放課後登校も、先生個人の裁量に負うところが大きいのが実情です。
学校は「何ができるか」を話し合っている
こう書くと突き放すように聞こえるかもしれませんが、伝えたいのは逆です。
限られた人手の中でも、担任・校内の担当者・管理職が集まって、「この子には、どんな形の対応ならできるだろうか」を話し合っています。理想どおりの手厚い個別対応は難しくても、その学校でできる形を探そうとしているのです。
だから親御さんが知っておいた方がよいと思うことは2つです。
1つは「別室登校させてください」と結論から要求するのではなく、「うちの子はこういう状態です」と相談の形で伝えること。そこから、その学校で可能な方法を一緒に考えられます。
もう1つは、すぐに完璧な対応が出てこなくても、それは学校の冷たさではなく人手の現実だと知っておくこと。この前提を分かっているだけで、学校との話し合いはずっとスムーズになります。
出席や進路の不安に備える
回復して家庭学習を始められるようになったら、知っておいてほしい制度があります。条件を満たせば、自宅での学習が学校の「出席扱い」になるというものです。
欠席が続くことへの焦りは、この制度を知っているだけでずいぶん軽くなります。制度の条件と、学校への相談の進め方はこちらで解説しています。
親自身がつぶれないために
最後に、いちばん伝えたいことがあります。
それは、不登校は長い付き合いになることが多く、親御さん自身が倒れないことが、実はお子さんの回復にとっても欠かせないということです。
抱えてしまう不安は自然なこと
「なぜ、うちの子だけ」
周りの子と比べて、そう思ってしまうのは自然な感情です。
仕事との両立に悩む方も多くいます。在宅の仕事や、急に休んでも理解のある職場に移る方、大きい子なら留守番、小さい子なら職場に連れて行く方も。子どもは案外そこで可愛がられて喜ぶこともありますが、気を遣うのも本当のところです。
こうした現実的な大変さを抱えていること自体を、まず「無理もない」と認めてあげてください。
相談先は「合う人」を。合わなければ無理に続けない
親の孤立も、よく起きます。
今までママ友だと思っていた人の何気ない一言に傷つき、距離を置く。
一方で、ママ友に相談して励まされ、情報をもらえることもあります。
特に低学年では、ママ友経由で「家に遊びに来てもらう」など、子ども同士のつながりが保たれることもあります。
人間関係は、傷つく場にも支えの場にもなり得ます。
スクールカウンセラーや担任も同じです。合う人に出会えれば、大きな支えになります。
ここで一つだけ、お伝えしたいことがあります。
つらいときほど、相手のちょっとした一言にひっかかって、「この人も分かってくれない」と感じ、次々と相談先を変えたくなることがあります。
それも、傷ついている心の自然な反応です。でも、渡り歩くうちに、気づけば頼れる人が誰もいなくなってしまうことがあります。
だからこそ、「完璧に分かってくれる人」を探すより、「7割合えば十分」くらいの気持ちで、一つの相談先とゆるくつながり続けるほうが、結果的に自分を守れます。
合わない人からは離れていい。でも、全部を手放さないでください。
前を向く親のもとで子どもは動きやすい
きれいごとに聞こえるかもしれませんが、25年以上見てきて感じるのは、親御さんが建設的で、前向きで、ある意味で楽観的でいられる家庭ほど、子どもも次の一歩を踏み出しやすいということです。
これは「無理に明るくしろ」という意味ではありません。
親が一人で抱え込まず、頼れる先を持ち、少し先に希望を持てていること。
その空気が、子どもに「大丈夫なんだ」と伝わるのです。あなたが楽になることは、わがままではなく、お子さんのためでもあります。
まとめ|今の時期を知ることが第一歩
- 不登校には時期がある。休養期・回復期・活動期を行き来しながら進む
- 休養期は、理由を問い詰めず、家を安心できる場所に。親の暗い空気は伝わるので、まず家を整える
- 家にこもるのが正解とは限らない。外に出られる子は、出て慣れておく
- 昼夜逆転やゲームには理由がある。特にゲームは大事な居場所かもしれない。取り上げるより、安心できる場所を広げる
- 回復期は、小さな場所・好きな時間から。焦らず「最初の1回」を大切に
- 別室登校などは学校の人手次第。要求ではなく相談の形で
- 親自身が倒れないことが、いちばんの土台
今どの時期にいるかが分かれば、次の一歩は見えてきます。焦らなくて大丈夫。まずは、お子さんの今日の様子を、そっと見るところから始めてみてください。
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