休んで数ヶ月。勉強がまるごと止まっている子どもを見て、焦っている親御さん、いると思います。
そう感じるのは当然のこと。
でも安心してほしいです。
教室で25年、子どもたちと向き合ってきた私から結論を伝えます。
学校の勉強の遅れは、思ってるより取り戻せる。
学校の授業は、話し合いや発表を含めて集団で学ぶ形で進むからです。
1対1や個人のペースで進めれば、同じ内容でもずっと速く進められるのです。
ポイントは「どこから何を始めるか」
追い付き方を間違えると、やる気がどんどんそがれてしまいますからね。

この記事では、子どもが少しでも「やる気」を出した時に、親御さんがどんな後押しをしたらいいか、具体的な方法を伝えます。 一緒に「不登校の焦り」を少しずつ減らしていきましょう。
「全部遅れている」わけではない|まず力を注ぐのは2教科だけ

優先順位が大切です。理科と社会は、後からで大丈夫です。
理科や社会は単元ごとの独立性が高く、興味を持てばまとめて取り戻せます。
一方、算数と国語は「積み上げ」の教科です。前の学年の内容の上に次が乗る構造なので、抜けたまま進むと、どこかで必ずぶつかります。
だから、取り戻すのはまず算数と国語だけ。この2教科に絞ってください。

もちろん、社会や理科に興味を持っていたらそこを中心に始めるとよいでしょう。モチベーションが大切ですからね。
やってはいけない取り戻し方

やりがちなことは、心配のあまり、焦って今学習しているところを完璧にさせよとすることです。
- 今の学年のドリルから始める
積み上げ教科では、抜けの上に積んでも崩れます。「学年相当」への焦りが一番の敵です - 1日◯時間とノルマを課す
エネルギーが戻る前の子に量を課すと、勉強そのものが嫌いになります - 親が先生役になって毎日教える
親子だと感情がぶつかります。教える役と支える役は分けたほうがうまくいきます
ぬけているとこがあるのなら、そこをきっちりと埋めてあげるのが大事です。

焦って、とにかくやらせようと合わないやり方をすると疲弊して逆効果になったお子さんをたくさん見てきています。それは不登校に限らずです。
子どもが「やってみようかな」と言った日に

やっと動き出した。
その姿を見たら、うれしくて、つい期待してしまいます。
当たり前のことだと思います。
ただ、この日の関わり方で、次の日があるかどうかが変わります。
気をつけたいことを、3つだけお伝えします。
① はりきりすぎに、そっとブレーキを
久しぶりの勉強は、思っている以上に疲れます。
本人は気づかないまま、長くやりすぎてしまうことがあります。
止めるのではなく、間に入れてあげてください。
- 「おやつ食べる?」
- 「そういえば今日ね」と雑談をはさむ
声をかけて止めるのではなく、場面を変える。
これなら、水を差した感じになりません。
疲れきってしまうと、次の日に続きません。
もの足りないくらいで終わったほうが、また開きたくなります。
② 次の日に続かなくても、何も言わない
「昨日はやったのにね」
この一言で、また閉じてしまいます。
一日でやめたのではありません。
一日は、やったのです。
言わずに待つ。
いちばん難しくて、いちばん効きます。
③ 教材は、選ばせる
2つ出して、どちらかを選んでもらってください。
渡されたものは、やらされた勉強になります。
自分で選んだものは、自分の勉強になります。
幅は小さくて大丈夫です。
「算数と漢字、どっちから?」でも十分です。
教科書やドリルの利用方法

教科書はよくできています。算数であれば、欠席した子でも自分で読んで学べるように書かれています。
国語であれば、説明文や物語文などの最後のページに学習する内容が書かれていることが多いです。
また、新出漢字は教科書の後ろにしっかりのっています。
ですが、教えてもらていない内容を、一人で読んで一人で学ぶということは小学生・中学生では難しです。ですので、親御さんの手助けが必要になります。
教科書の利用方法
算数の教科書は、問題提示→考え方の説明→解き方→まとめ→練習問題という順に並んでいます。
- 教科書を読む
- 解き方をうつしてみる
- 問題を解く
練習問題は①~⑧などたくさんあります。でも、全部解かなくてもよいです。
色がついているところだけでもよいというように、間引いてできるようにつくられています。
教科書会社によって色やマークなど異なりますので、教科書のはじめのページに教科書の使い方が書かれていますので目を通してみてください。
- 漢字
- 音読
- 意味の確認
- 単元終わりのページに尋ねられていることを考える
何をしてよいかわからないと言う場合は、とにかく漢字と音読をしておきましょう。国語の基本ですからね。
語彙を増やすために、わからない言葉は親御さんが教えてあげてもよいですし、調べ方を教えてあげてもよいです。

音読は一緒に読んだり「。」で交代して読んだり、楽しんでほしいところです。
ドリルの利用方法
算数ドリルと漢字ドリルは学校で購入していることが多いので、それを使えばよいでしょう。
算数ドリルは解き方の要点がコンパクトに書かれているので、教科書よりも親御さんは説明しやすいかもしれません。
また、答えも付いているので、自分で丸付けをすることもできます。
国語のドリルは買わないことが多いです。持っていない場合は書店で購入してよいでしょう。国語の教科書で何を学習してよいかわかりにくいので、国語ドリルをするのはお勧めです。

国語のドリルは、丸付けだけして終わらせることが多いので、本文を確認しながらの答え合わせが大切です。
机に向かわなくても、学習はできる
ドリルを開くことだけが勉強ではありません。
- ニュースを一緒に見て、知らない言葉を説明する
- 料理で、牛乳を何リットル量るか一緒に見る
- ピザを切り分けて、これが何分の一か話してみる
こういうものは、机の上でやったことより、よく身につきます。
生活の中で、実際に使ったからです。
そして、学習を再開したときに効いてきます。
「量」や「分数」を手ざわりとして持っている子は、教科書の説明が入っていきやすいのです。
勉強が完全に止まっている時期でも、ここは続けられます。
本人にとっては勉強ではないので、抵抗がありません。
親は褒めるだけのいいとこどりをおすすめ

「褒めて伸ばす」とよく言われます。
ただ、不登校のお子さんの場合は、少し違います。
褒めすぎると、プレッシャーになります。
「こんなに喜ばれたら、明日もやらないといけない」
そう感じてしまう子は、少なくありません。
オウム返しくらいで、ちょうどいい
「ここ、わかった」と言ったら「わかったんだ」。
評価を足さずに、そのまま返す。それだけで十分に伝わります。
言葉より、そばに寄る
一緒にドリルを開く。隣に座る。
何も言わなくても、見ていることは伝わります。
×はつけない
丸つけは親御さんがやって、合っているものに丸だけ。
間違いは印をつけずに「ここ、もう一回見てみようか」で十分です。
×が並んだ紙は、それだけで手が止まります。
「親が教えるとけんかになる」
これは、想像に難くないでしょう。宿題だけでも大変というご家庭も多いです。
教えてもらっていない、はじめての学習内容を教え続けるのですから、そりゃあ仕方のないことです。
ここまで読んで「うちは無理かもしれない」と思われた方もいると思います。
付いてあげられるなら、それがいちばんです。
でも実際には、難しいご家庭のほうが多いです。
仕事があります。下の子もいます。
親御さん自身が疲れきっていることもあります。
全部を背負う必要はありません。
イライラしないですむ方法、それは外部サービスに頼むこと。
え⁈それが解決策⁈何それ!と思われるかもしれません。
でも、それが正直な思いです。
学校では先生はそんなことは言えません。
頼るところは教える専門に頼む、そして、親御さんは親御さんにしかできないことをする
そばにいる役は、代わりがいません。
こういった切り替えも必要です。
今はたくさんの選択肢があります。料金も内容も様々です。
- 地域の不登校支援のスクール(無料)
- フリースクール
- 塾・公文
- 家庭教師
- オンライン家庭教師
- オンラインフリースクール
- タブレット学習

公共サービスでお探しであれば、担任の先生に相談するとよいです。お子さんに合ったところが近くにない、親の送迎が必要などまだまだ充実していないところもありますが、無料というのは大きいです。
料金はかかってもいいから、より子どもに合ったサービスを探したい場合は、選りすぐりのオンライン学習をまとめた記事があります。
不登校の前から学習の遅れがあった子の学習手順

休む前から学習の遅れを結構感じていた子は、以下の順番で進めていくのが一番の近道です。
大事なことは、「抽象の壁を乗り越えられているか」です。
1・2年生は具体的なこと、生活体験で得る内容から考えていきます。ところが3年生になってくると抽象思考が入ってきます。
具体から抜け出せずにいると、中学年からの問題が難しくなるのです。
【算数】1年生から確認して4年生までを確実に
そこまで?と思われるかもしれませんが、遅れを感じているなら、算数は1年生の内容から、せめて2年生の内容から確認していくのが一番確実で、結局一番速いです。
理由があります。5・6年生で学ぶ内容は、4年生までに学んだ考え方の組み合わせでできているからです。
つまり、4年生までの途中に抜けがあると、どこかでつまずいてしまいます。遠回りに見えて、戻るのが最短ルートなのです。

どこでつまづいているのか分かりにくいので、戻っていくのが確実なんです。その計算はできていても、考え方はわかっていなかったなど、できているようで実は概念が身に付いていなかったりするんです。
これは中学生も同じです。中学の数学でつまずく子の多くは、小学校の算数に抜けがあります。中学生こそ、小学校の内容に戻る勇気が、結果的に一番速い道になります。
とは言っても、中学生が1年生から学習していてはなかなか追いつかないので、4年生くらいから始めて、わからなければ3年生に戻るとよいでしょう。
なお、発達の課題や知的な遅れのあるお子さんの場合は、まず3年生までの内容を確実にすることを目標にするとよいです。
- お金の計算
- 時間
- 量の感覚
- 簡単な計算
3年生までの算数は、生活を支える土台そのものだからです。
【国語】まずは語彙と短文!多くの子は2年生に戻る
国語の遅れの正体は、多くの場合「読解力がない」ではなく「語彙が足りない」です。
進め方は短い文から。主語と述語がはっきりした、答えが明確な文章問題から始めてください。
答えがはっきりした問題は「できた」が積み重なるので、自信の回復にもつながります。
小学生の大概の子は2年生・3年生くらいの内容に戻るのがちょうどよいです。中学生では4年生頃です。
そして語彙は、教材だけで育つものではありません。
- 絵本
- 普段の会話
- テレビの話題、ニュース
日常のやりとりが一番の語彙の教材です。ここはお金をかけなくてできます。

「のどか渇いた?お茶飲む?」これでは国語力は育ちません。「お母さん、のど渇いたからお茶をちょうだい。」こう言えるように、「うん」「ううん」だけで終わらないようにしてあげましょう。
補足|中学3年生は話が別
ここまでの順番は、時間をかけて土台から立て直す考え方です。ただし、中学3年生は受験対策が必要になるため、話が変わります。
例えば、ここまで「後からでいい」とした社会は、受験期には逆転します。
社会はやれば成果が出やすく、短期間での得点アップの鍵になることがあるのです。
受験まで時間がなく焦っているなら、社会で得点を狙うのも一つの戦略です。
ただし、これは受験の形式(内申の比重、入試の科目構成など)によって変わります。
中3の場合は、先ほどからお伝えしている順番をそのまま当てはめず、担任の先生や個別に教えてもらえるところで相談を受けた方がよいです。
学習では「プライド」「管理」「進路」が大きな壁

学習への意欲が出て頑張りはじめたら、2つの壁にぶつかることがあります。
1つ目は、プライドの壁です。
今までの学習を理解できておらず、何学年も下の内容をやることもあります。
本人のプライドが許しません。
「こんなの、バカにしてるの?」
この反発は、怠けではなく当然の心の動きです。
特に不登校の子は、ただでさえ「みんなより遅れている」という負い目を抱えています。
2つ目は、管理の壁です。
どこが抜けているかを見つけ、課題を一つずつ設定し、クリアさせていく、
これは教員が専門的にやっている仕事です。正直に言って、これを家庭だけで行うのはかなり難しいです。
3つ目は、進路の壁です。
学習の遅れを取り戻す中で、進路に直面すると心がさらに大きく動きます。
- 間に合うのか
- 受験できるのか
- 高校に通えるのか
不安がつきまとい、心が揺さぶられるかもしれません。

しかし、高校進学を目標にエネルギーに変えていった子もいます。そして、そのお子さんは高校から登校を再開しました。「学習しないといけない」という思いは、大きな原動力にもなるのです。
これら3つの壁をうまく乗り越えるためにも、外部のサービスをおすすめするのです。
勉強を再開するなら「出席扱い」もセットで

不登校の親御さんに知っておいてほしい制度があります。
家庭学習を進める場合、条件を満たせばその学習が学校の「出席扱い」になる制度です。
- せっかく勉強を再開するならその頑張りを出席として認めて!
- 受験に向けて出席日数がほしい!
こういった方に活用してほしいです。
制度の条件と学校への相談の進め方は、こちらで詳しく解説しています。
まとめ|勉強の遅れは「順番」を変えれば取り戻せる
勉強が止まっている間は、時間だけが過ぎていくように感じます。
でも、遅れは「量」の問題ではありません。「順番」の問題です。
この記事でお伝えしたことを、3つにまとめます。
- 算数と国語の2教科にしぼる。理科と社会は後からで間に合う
- 今の学年からではなく、わからなくなったところまで戻る
- 親御さんは教える役ではなく、安心できる存在に戻る
遠回りに見えて、これがいちばん速い道です。
学校の授業は集団で進みます。1対1やその子のペースで進めれば、同じ内容でもずっと速く進むからです。
ただ、家庭だけで続けるのは簡単ではありません。
プライドの壁、管理の壁、進路の壁。
この3つは、親子だけで越えるには重すぎることがあります。
外部のサービスを使うのは、甘えではありません。親御さんが「先生役」を降りられるという意味でも、大きな助けになります。
そして、せっかく再開するなら、出席扱いもセットで考えてみてください。
同じ勉強が、出席日数にもなります。
最後に、いちばんお伝えしたいことです。
遅れは、取り戻せます。
ただ、取り戻す順番を間違えると、やる気のほうが先に尽きてしまいます。
今日できることは、ひとつで十分です。
算数か国語、どちらか1冊。お子さんが「これならできそう」と言ったところから始めてみてください。
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