「小学生になったのに、幼稚園や保育園のときより帰るのが早くて大変…」
こんな声をよく聞きます。特に、パート勤務や時短勤務の保護者にとっては、想定外の早さに戸惑うことも。
この記事では、現役小学校教員の目線で「1年生の1日」や「入学後の下校時間の変化」についてリアルに解説します。
働き方や家庭の事情に応じて、放課後の過ごし方もぜひ考えておきたいところ。入学後の生活をスムーズにスタートさせるための参考にしてください。
1年生の1日の流れ(通常時)
小学校の授業は1時間45分が基本です。1年生も例外ではなく、だんだんとこのペースに慣れていきます。
通常の時間割(5時間授業の日)
とある学校の1日を紹介します。多少前後しますが、だいたいこのような流れです。
時間帯 | 内容 |
---|---|
8:30 | 朝の会 |
8:45〜9:30 | 1時間目 |
9:30〜9:35 | 休憩 |
9:35〜10:20 | 2時間目 |
10:20〜10:40 | 中間休み(業間休み) |
10:40〜11:25 | 3時間目 |
11:25〜11:30 | 休憩 |
11:30〜12:15 | 4時間目 |
12:15〜13:00 | 給食 |
13:00〜13:25 | 昼休み |
13:25〜13:45 | 掃除 |
13:45〜14:30 | 5時間目 |
14:30〜14:40 | 終わりの会・下校準備 |
14:40〜 | 下校 |
※曜日や行事の関係で下校時間が早くなる日もあります。
昼休みや掃除時間がカットされる曜日があったり、夏休みや冬休み前になると中間休みが短くなるなど、下校時間が変化するので注意が必要です。
1年生は年間授業時間数が少ないので、4時間授業で給食後に下校する曜日がある学校も多いです。
休憩時間と休み時間の違い
2時間目と3時間目の間に中間(業間・中)休み、給食後に昼休みが挟まることが多いです。
- 外遊び、図書室、絵を描くなど個々のリフレッシュ
- 「みんな遊び」「クラス遊び」などのクラスの友達との交流
- 授業中の課題、宿題の直しなどの学習の補充
- 係活動などの仕事
1時間目と2時間目の間、3時間目と4時間目の間は5分間ほどの休憩が挟まることがあります。休憩時間の位置づけです。
- 体育の着替え
- 教室・運動場移動
- トイレ
- お茶飲み
体育がある時には、短時間で、着替え(体育)、移動、トイレ、お茶飲みなど、こなしていく力が必要です。
給食時間は準備も含めて45分間ほど
給食時間は、準備から片づけまで45分間ほどです。
1年生は時間の確保をするために、補助の先生と2人体制で配膳を手伝ったり、授業を早めに切り上げたりします。食べる時間は30分ほど確保できます。
しかし配膳の量でミスしてご飯が不足してしまった場合は、みんなから少しずつ返却してもらうので、食べ始めるまでに時間がかかり、食べる時間が短くなります。
下校時間の変化「3ステップ」
入学後すぐに通常の1日がスタートするわけではありません。1年生は段階的に学校生活に慣れていくよう工夫されています。
【入学直後】3時間授業→11:30頃下校
入学後3日間ほどは「登校・朝と帰りの準備・下校」の3つに慣れるのが最優先です。授業というよりは、生活習慣のトレーニング。
この時期に学ぶこと
- 朝の用意・帰りの準備
- 連絡帳・提出物の出し方
- 配布物の片づけ方
- 持ち物や事柄の呼び方(連絡帳・連絡袋・チャイムなど)
- トイレ・水分補給のルール
- 放課後児童クラブへの移動確認
- 下校ルートや班の確認
朝の用意をしたと思ったら、帰りの準備に入ります。
3日間くらいで少し行動が早くなったり、提出書類などが少なくったりして、時間がつくれるようになります。
子どもの声としては…
「勉強しないの?」「もっと遊びたい」「座ってるの疲れる」といった本音もちらほら。
「字を書く」「たし算をする」と意欲いっぱいで入学しているので、思っていた学習と違うこと、そして、ずっと座っていなければいけない不慣れな環境に疲れがたまります。
合間に絵本・手遊び・散歩などで気分転換を取り入れます。
3日目を過ぎる頃になると、教科書を開いたり、発表の練習(返事・手の挙げ方)をしたり、授業の基本を学びます。
鉛筆を持って線なぞりの学習も始まります。
鉛筆の持ち方や正しい姿勢を学び、運筆の練習をします。色塗りもよく行います。持ち方の練習もありますが、ほとんどの子が楽しめるからです。
漢字は2学期から学習します。
鉛筆の持ち方や運筆などが重要です。文字練習は、このなぞり書きが基本です。
見通しを持って進められるよう、下記のブログもよろしければご参照ください。
【〜2週間目頃】4時間授業(給食なし )→12:25頃下校
給食がないので、下校時間が遅くなり過ぎないように計画されています。
- 1年生は中間休みを短くする。
- 4時間目途中で下校準備を行い、4時間目終了時には「さよなら」できるようにする
- 給食なしの4時間授業の期間を短くする、4時間授業がはじまった時点で給食にする
学校の生活にまだ慣れていないので、朝の会(連絡帳・提出物・配布物・下校確認など)が長引くことが多いです。
4時間目は下校準備に当てられるので、実質授業時間の確保ができるのは2時間目と3時間目です。
授業時間を少しずつ確保しながら授業を進めます。
- 国語:線なぞり、ひらがな、音読
- 算数:10までの数
- 図工:粘土、クレパスで簡単な絵
- 体育:着替え方、体操・並び方、遊具の使い方
ひらがなを書くようになると、「勉強がはじまった!」と実感するようになります。次第にひらがなの宿題が始まります。
4時間目は、途中で下校準備に入るので、比較的短時間区切りでも進めやすい音楽や生活科などにすることが多いです。
中間休みも始まり、外遊びの導入が検討される時期。ただし、遊具の使い方や校内ルールを学んでから、段階的に自由な時間が増えてきます。そうなると少し解放感が出てきます。
【4月下旬~GW前後】給食後下校→13:15頃下校
このステップでようやく、他学年と同じ時間帯で行動できるようになります。
ただし給食準備はまだ教師主導。メニューによっては時間がかかり、調整も必要です。
給食後の下校に間に合うよう、4時間目は給食の準備につかいます。給食が届き次第すぐに配膳します。
給食当番がいますが、ほぼ教師が行います。とにかく食べる時間をできる限り長く確保します。
6年生が手伝いに来てくれる学校もありますが、6年生が授業を終える頃には配膳完了となるほどです。
どれくらいの時間あれば、ほとんどの子が食べ終えるかなどを逆算し、4時間目の時間を確保していきます。
この時期から行事も増加(授業参観・健康診断・通学班会など)し、「1年生の春」は意外と忙しいのです。
GW前になると、学校時間に慣れてきます。授業も本格的に入り、休み時間も外で思いっきり遊び、ようやく小学生!という雰囲気で楽しむ姿が見られるようになります。
よくある保護者の悩み:帰りが早すぎて困る
1年生の春は、13時台に下校してくるのが一般的です。
フルタイムで働く保護者の多くは、放課後児童クラブ(学童)を活用していますが、時短勤務や在宅ワーク、主婦の方など悩みもそれぞれ。
- 昼過ぎには帰宅してしまい、仕事が中断される
- 習い事もまだ始めておらず、持て余す時間が長い
- まだ近所に友達ができていないので、一人で遊んでいる
対策アイデア:放課後の過ごし方
- 放課後児童クラブの登録は早めに検討を
- 一時預かりやファミサポ(ファミリーサポート)を調べておく
- 祖父母など家族のサポート体制を整える
- お昼ごはんの時間を考慮したスケジュールづくり
- 放課後児童クラブに通わない場合は図書館・公園・自宅学習などのルーティンをつくる
放課後児童クラブは人気です。クラスの半分以上が通うことも。その子たちは春休み(入学前)から通っています。
入学直後は仕事をセーブして下校させる保護者が多かったです。
しかし、近年は、入学直後も休まずに通わせることがほとんどです。放課後児童クラブに通えば、学習も遊びもできます。
集団生活に慣れなかったり、お家の方に会いたくなったり、放課後児童クラブに行き渋る子もいます。
しかし、ほとんどの子が通っているので、「自分だけ帰れない」という思いは、以前よりも薄まっているのではないでしょうか。
下校しても周囲に友達がいなければ、時間をもてあそびます。
公園へ行くことをお勧めします。近所のお友達が遊んでいるということがよくあります。
低学年は近所の子と仲良くなることが多いです。下校班が同じ、一人で遊びに行きやすいという理由で、遊ぶ約束がしやすいのです。
まとめ:小学校生活は「思ったよりもゆっくりスタート」
1年生の生活は、少しずつ慣れていく設計になっています。下校時間が園よりも早く感じられるのはそのためです。
焦らず、環境にあわせて少しずつ生活リズムを整えていくことが大切です。
学校の説明会(秋〜冬頃)では、校時や入学後の生活リズムについて説明がありますので、早めの情報収集と準備をおすすめします。
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